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研師 秋田勇喜さんを訪問!

鎌倉の鶴岡八幡宮から直ぐ近くに研師秋田さんの作業場がある。
鎌倉駅から徒歩20分らしいが、鎌倉駅から鶴岡八幡宮にかけては商店も多く立ち並ぶので気が付いたら付いていた、というような感覚だろうか。

入口には本阿弥流佐々木派との看板


①秋田勇喜さんについて

秋田さんは佐々木卓史さんに内弟子として入門してから約15年修行したのち、昨年令和3年に独立された研師さんです。
令和2年の日刀保のコンクール(現代刀職展2020)では研磨部門鎬作りの部において特賞三席の千葉賞を受賞。
これからが期待される研師さんの1人です。

学生の頃から刀が凄く好きだったようで、当時研ぎの知識は皆無だったもののミニチュア刀を五寸釘を用いて製作したとのこと!
刀愛が素晴らしい。

凄く小さい
ちゃんと分解できます

机の上にポンっと素晴らしい物が置いてありついつい見入ってしまいました。



②刀の鑑賞

早速秋田さんの研いだ御刀や、これから研ぐ刀、途中の刀などなど様々見せて頂けた。
普段刀屋さんで見る刀は、ピカピカに磨き上がった美しい刀。
しかしここでは錆が部分的、もしくは全面についた刀なども見せて頂けた。
こうした刀は刃文も綺麗に見る事が出来ない状態。

そうした刀を1振1振と再生させていく。
形があまりに悪い場合はまずは形を成形し直して全面的に研ぎ直すようだ。
「刀をなるべく減らさないように研ぐ」これは研師の方が心に留めている事と思うが、佐々木派の考え方は少し違うらしい。
「減らして残す」というのだ。
どういう事か聞くと、まず見た瞬間に姿などが美しいと思えない刀は大事にされない事が多い。

変な姿のまま極力減らさないように刀を研いでも、その後大切にされずまた錆びさせられてしまう。
そういった事を何度も繰り返すよりも、まずは少し減らすことになってしまっても美しく成形し直す。
そうした方が結果的にはその刀を大切にしてくれる人が増え、その後錆びさせてしまう事が減るだろうという考えとのこと。
なるほど、色々な考えがあるのだなと感じた。

下地の成形が終わった後。この状態では刃文はまだ見えづらい。


研師という職業は凄い職業である。
ここまで何百年と残ってきた歴史物に手を入れるというのは並々ならぬ精神が必要だろう。

ということで、そんな工程を経て研ぎの終わった物を一振紹介。
額銘の長船真長。勿論秋田さんが研いでいる。
2尺1寸と大摺り上げ。小柄で手持ち感がとても良い。
古さを出す研ぎを意識されたとのこと。刃が冴えて美しい。



③研ぎの実演?!

実際に研ぎをされている場も見せて頂けた。
目の粗い石を使う時は「ザッ…ザッ…」というような音がし、目が細かくなると「シュッ…シュッ…」というように音が異なるのが分かります。

少し研いでは、砥石の方にも石を当て研磨。

暫く研ぐと砥石の方も研磨される秋田さん

何をされているのかお聞きすると、刀を研ぐと砥石の方も表面が削れるらしく、刀を研ぐ際に都度綺麗な面が当たるように調整をされているのだそう。
細かい気配りが完成に大きな影響を及ぼすのですね。

一通り見せて頂けた後、なんと秋田さんから「座ってみます?」と一言。
折角なので聖域に足を踏み込ませて頂きました。
こんな服装で本当申し訳ありません。
緊張感が凄い。
胡坐をかくようにして右足と左足で砥石を抑えて座るようです。
座るだけでも大変でした。

刀は勿論石に当ててないですよ。
刀を見てるポーズも!という事でそれっぽく撮って頂きました。



④料理も一流の秋田さん

到着するなり修業時代に培ったという料理をふるまって下さった。
「師匠は味に厳しかったですからね。折角作っても不味かったらラーメン注文すると言われた事もある。15年作ってれば慣れます」と素晴らしい自炊力に感動する。

全て手作り。どれもとても美味しい。昨日から仕込んでおいて下さったものも。


⑤終わりに

そんな秋田さんは毎月第一日曜にお手入れ講座(有料予約制)を開催されているようです。
随時Twitterで募集を受け付けているようですので、刀を手に入れたばかりの方やこれから刀を手に入れたいと興味のある方など、鎌倉の地にて歴史を感じながら刀の知識を深めるというのもまた良いかもしれませんね!

秋田さんのHPは以下になります。


という事で秋田さん、とても素敵なお時間をありがとうございました!


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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