完璧を求めると名刀は手に入らない話
先日「大素人」という昔の刀剣書籍を読んでいたところ興味深いコラム「往時回想の記 文:三田彰久」を見つけた。
中務正宗は現在トーハクに所蔵されており、中務正宗という号は中務大輔を称した本田忠勝所持にちなみ、徳川家康が所持した事でも知られる。
物打ちあたりの小さな鍛え割れのような疵、というのは以下の写真でいえば切先したあたりの鎬筋あたりにある疵の事だろうか。
この話は先日Xにも投稿したのだが、実はこの話にはまだ続きがある。
つまり話を大まかにまとめると、会社を救うために止む無く中務正宗を手放す事になったが、それを刀の大先生とも言える本間薫山氏に素直に言うのは言い訳のような気がして、「つい小さな疵があったから手離したのだ」と咄嗟の理由を述べたところ激語された、という流れであろう。
しかし中務正宗を手放した事で会社は救われ、その後名刀を追い求めた結果、兼氏の名刀が手に入った。
しかし中務正宗を改めて見る機会があり、見てみるとやはり良くて良くて堪らない、なぜ手放してしまったのかという後悔の念を感じつつもそれがまた刀に恋しながら一生を終える至福の時でもあると感じた、という話である。
昔の方のこうしたコラムは心境を上手く表現する言葉運びも洒落ていて、非常に知的で実に美しさのようなものを感じる。
この方の話はここで終わるのだが、実は驚く事に、
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