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蝦夷目貫⑨ 蝦夷っぽい目貫(埋忠就一)
前回は埋忠極めの蝦夷目貫について触れました。
引き続き埋忠作と思われる蝦夷目貫写を継続して探していたところ、「就一」と短冊銘の入った蝦夷風目貫を見つけたので手に入れてみました。
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①「就一」という人物について
「就一(なりかず?)」について調べているとヤフオクにて似た銘の物を発見。
花押も一緒であり作風も似た所があるところから同一人物の手によるものと見たいが、すると埋忠という事になる。
「忠」の銘からも江戸中期以降の作のように思える。
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尚、埋忠就一の周辺の人物について想像すると、「埋忠就方(なりかた?)」は同じく四分一地を用いた似たような蝦夷風の作品を残しているという点や、「埋忠」の銘の切り方、花押を入れている点などが共通しており師弟関係など何かしら近い人物であった可能性を感じてならない。
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そしてもう一人、関係がありそうなのが「埋忠就受(なりしげ)」。
以下を見ると、江戸埋忠の祖が就受(1641~1729年)とのことで、四分一地に金鍍金、金すり減がし工法を得意として、縁頭、小柄、龍の目貫を作る、とある。
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という事で改めて話は戻るが、「埋忠就一」についてはやはり江戸中期頃の金工と考えて差しつかえない気がしている。
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②この目貫の詳細
実際にこの目貫はとても良く蝦夷の雰囲気を写している気がするので、その辺りの細部を写真に載せつつ蝦夷目貫と比較して見ます。
結論から言えば、目貫の厚みなどは非常に良く写して作られている印象で、金鍍金の色味と四分一の色味が本歌と比較すると、金鍍金は薄く、四分一は深みが足らず艶感があまり無い印象があります。
とはいえ非常にささやかな違いであり、蝦夷指定を受けているものの中にも相当数の埋忠作が混じっている可能性がある事を教えてくれるような作で、見ていると非常に勉強になります。
刀で言うなら南紀重国の作で相州上工に紛れるものをみるような感じと似ている気が。
因みにこの目貫に限って言えば表目貫、裏目貫共に陰根です。
短冊銘が片方にしかないので本来のセットかどうか不明なのですが、構図や造り込みから見て恐らくセット品として見て良い気がしています。
ここから先は
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