野晒目貫① 大月派
初めて目貫を買いました。
それがこちら。
野晒の目貫です。拵に付けたいわけではないのですが禅的思想が気に入り購入に至りました。
京都の金工である大月派極めの目貫。
大月光興や篠山篤興などが有名です。
四分一の髑髏(どくろ、しゃれこうべ)に銀色絵を施した骨、四分一の卒塔婆には「経日 悟世非常」と金象嵌され、それを赤銅でデザインされた植物が包み込むようにして絡んでいます。
「悟世非常」は無量寿経というお経の中の言葉だそうです。
日が経つに連れて、世の常ならざる事を悟るという意味で、髑髏の目貫と合わせて見るとそこには死が連想されますが、 死すべき命を生きているからこそ、今この一時をどう生きるかが問われているのかもしれない。
そんな事を感じさせてくれる気がします。
これは江戸時代の目貫ですが、野晒の作は桃山三名工と言われる信家や金家から見られます。
この時代は動乱の世で戦も多く、いつ死ぬかも分からないという中で悟る覚悟のようなものがあったのかもしれない。
私の購入した野晒目貫は江戸時代のもので平和な時代の作。
明日死ぬかもしれないという思想は信家の時代程無かったとは思いますが、江戸時代という平和な時代だからこそ生じた生きづらさや人間関係、しがらみなどの苦難もあったはず。
そのようなより現代に近い思想をこの目貫から感じる気がして、この作者に親近感が湧きました。
因みに大月派を代表する大月光興の後半期の作は、写実描写から脱して禅味のある作域に達しているそうですが、この作者も色々な経験から禅味のある作域に達したのかもしれないと想像しています。
詳細画像
以下はルーペで見てみた写真です。
1cmほどの髑髏に凄い細かな造形が施されています。
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