銅の様々な色味(日本刀の鐔の話)
古金工鐔や素銅の鐔を買ってみて手元で比較してみると素材そのものであっつたり時代の経年変化により様々な色味をしている事が分かった。
同じ「銅」なのになぜ…?
赤っぽい色から濃い茶色、赤黒い色から濃い緑など明らかに違う色味もあり実に奥深い素材が「銅」であったので簡単にであるがまとめてみる。
・刀装具で使われる銅は2種に大別
まず刀装具で使われる銅は、「山銅(山金ともいう)」と「素銅」に大まかに分けられるそうだ。
色の区別で言えば大まかに、黒っぽいと「山銅」、赤っぽいと「素銅」かと。かなりざっくりですが。
「山銅」は精錬されておらず不純物が混じったまま使用された物で、色味も青黒く見えるものもあれば、緑黒く見えるものもあり、赤黒く見えるものもあり幅が広い。きっと不純物の内容により色味が分かれるのだろう。
一方で「素銅」は精錬して純化しているので、いわゆる我々が思い描く「銅」の色味をしており、色味も大体同じである。
素銅でも明るい赤もあれば黒っぽい茶色もある。
これは経年による変化と考えられる。
因みに話は逸れるが、10円硬貨は銅 95%+亜鉛3~4%+錫1~2%の青銅、5 円は銅 60~70 %+亜鉛 40~30% の黄銅、50円・100円・500円は銅75%+ニッケル25%の白銅であり、素銅とは違う。
・経年による素銅の色の変化
次に素銅の経年による変化について調べてみた。
「一般社団法人日本銅センター」のHPを見ると以下のようにある。
これを手持ちの鐔で当てはめてみたのが以下である。
右に行くほど古い(鐔が古いというより銅の経年変化が進んでいるという意味)
さて一言に「銅製」と言っても山銅と素銅でも色味は違うし、更に経年変化でも質感や色味が変わる。銅は本当に面白い素材。
以下は上段に「素銅」を、下段に「山銅」を並べたものである。
素銅(上段)は右に行くほど経年変化が進んでおり、山銅(下段)は含まれる成分により色味が赤っぽいものと緑っぽいものに見えると思う。
因みに銅の経年変化が進むと、最後は以下のように緑青が付く。
腐食しているように見えるが、実際は内部を保護している状態。なので撮り除ければ下からピカピカの銅が出てくる。
鉄で言えば黒錆のような状態でしょうか。
最終段階(緑青が付く)になってなお腐食しているわけでもなく内部を守ってくれているという。
なので自由の女神がボロボロに見えて心配に思えるかもしれないが、実際は逆で内部の銅を守っているのである。
銅…実に面白い素材です。
何となく刀装具に良く使われている理由が分かったような気もします。
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
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