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4店舗から94店舗へ:価値観とマネジメントで実現する多店舗展開

多店舗展開――それは組織が成長を遂げる一方で、マネジメントや価値観の共有が複雑さを増す、挑戦の連続です

理学ボディもまた、4店舗から始まり、現在94店舗を運営するまでに至る中で、数多くの失敗と学びを積み重ねてきました

僕がジョインしたのは、まだ4店舗だった頃で、小規模な組織だからこその勢いと課題が入り混じる中で、多店舗展開への一歩を踏み出した時期でした

初期の「とにかくやってみる」勢いだけでは乗り越えられなかった壁、中期の「管理」と「成長」のバランスに悩んだ日々、そして後期の「組織の質」を求めた挑戦

それぞれの段階で直面した課題と解決策は、今の理学ボディの財産になっていると思う

このnoteでは僕たちが歩んできた軌跡を初期・中期・後期の3フェーズに分け、失敗から得た学びや実際に導入した施策、そしてその結果を具体的にお伝えします

多店舗展開を目指すすべての方に、少しでも役立つヒントを届けられれば幸いです!


【多店舗展開を考えるなら、初期から価値観共有はすべき】


 理学ボディはまだまだ発展途上ですが、現在を基点として初期(4→15)、中期(15→42)、後期(42→94)に段階に分け各フェーズにおける取り組みと失敗からの気づき、そしてその対策を紹介します


失敗①教育
初期の採用はSNS経由が多く価値観が似たメンバーが多く集まりました そのためバックボーンも似ているため、教育もあまりせず、なんなら接遇などの教育はないまま現場に立ってもらっていました

その結果、サービスの質は低くないもの、ラポール形成や接遇面でスタッフ間の差があり、数字もばらつきがありました

失敗②トークスクリプト
トークスクリプトの有りと無しで比較すると、間違いなくトークスクリプトがあった方がヒアリング、クロージングの質は上がります しかし、トークスクリプトを渡すだけでは実行されなかったり、棒読みで逆効果になる事も経験しました

ナンパのトークスクリプトを渡されたからと言って、全員今から街に飛び出してナンパできるか?と言われたらそうではないはずです 僕はできません笑

失敗③数値管理
スタッフはほとんどが病院勤務の経験しかなく、月次の数字を追うという業務に不慣れな方が多いです

数字を追うことに慣れていないものの、スタッフは目の前の患者の症状に応じてPDCAサイクルを回す経験値は高いです

そのため、日報や月次報告の作成に慣れることで、数字の管理にも強くなると考えてました

しかし、現実は職人気質のスタッフが多く、逆に数字を追うために理学ボディにきたのではないというアレルギー反応を起こしてしまいした

これらの失敗に共通しているのは、施策自体は適切であったにもかかわらず、その意味や意図がスタッフに十分に理解されていなかったこと、また、施策がどのような価値観に基づいて策定されたのかが明確に伝わっていなかったことだと気が付きました

その気づきを基に、価値観研修という研修を2年半前から実施しました

ワークとして、ナインブロックスを用いた「価値観&自己紹介」セッションを取り入れており、スタッフそれぞれが会社と自分との接点を知る機会を提供しています

価値観研修を実施したことで、新しい施策を導入する際の本部と現場のギャップが減少したと感じます

また、スタッフの理解と納得度が向上し、実行率も上がり、従来感じられていた「やらされ」感も減って施策が純度高く現場で遂行されるようになったとも感じてます

価値観の共有しても、サービスの質が上がらないし、経営層からは売上も上がらない遠回りの施策だと思われるかもしれませんが、僕は初期から取り組むべきだと思います

現在、ピラティス事業のマネジメントと組織構築に力を入れていますが、枝葉の施策を進める一方で、チーム全体の根幹の価値観を共有する取り組みも同時に行っています

本当の初期は顧客に良いものを届けるためにプロダクトの質を上げることに注力すべきですが、多店舗展開、スタッフを増やし始めたら価値観研修は絶対に導入すべきです

【多店舗展開を考えるなら、中期はマネジメント手法の確立と責任者の心理的安全性を確保すべき】



多店舗展開をする上で、中期で取り組むべきことはマネジメント手法を確立することと、そのための事業責任者の心理的安全性を確保することだと思う


初期は多種多様な価値観を持つスタッフが入ってくれるからこそ、価値観研修をして意味や意図を伝えて、本部とのギャップをなくして施策の理解と納得度を上げることが重要でした

この初期の段階で気がつくべきだったのですが、創業メンバーですら価値観や仕事のスタイルが違うことを見落としていました

失敗①マネジメントギャンブル
病院時代ほとんどマネジメントをされたこともないし、したこともないメンバーなので、自分の仕事のスタイルを全面に押し出したマネジメント手法になっていました

僕の場合は、新卒がかなり厳しい病院で、そこの先輩たちに負けたくないという反骨心で、理不尽をバネに成長してきました

この成功体験があるが故に、人は厳しい環境に置かれれば置かれるほど成長するという間違った価値観が醸成されていました

振り返ると3年前はスタッフに結構厳しいことを言っていたと思います

当時マネジメントしていたスタッフには、「最近、別人になりましたね笑」と言われるくらいなので、相当だったんだなと

他にもKPI管理主体のワークマネジメント、飲みニケーション主体のピープルマネジメント、俺の背中を見て育てという放置マネジメント

創業メンバーでさえ、マネジメントスタイルがバラバラでした

スタッフがマネージャーのマネジメントスタイルにハマれば伸びる、ハマらなければスタッフの可能性に蓋をするという一種のギャンブルになっていました

失敗②お見合いしてボールが浮いたまま 当時は取締役の清水(@shimizu_Pbody)は東日本、肩は西日本というエリアで責任領域を分けていました

エリアの問題はそれぞれが責任を持って対処していたが、コアであるマネジメントの方向性や全体の数値責任がどちらの責任領域か曖昧でした

僕は「清水くんのやり方があるし、ここは口出ししないほうがよいか」 清水は「肩さんのやり方があるし、ここは口出ししない方がよいか」 とお互いに謎の遠慮をしあって、一番重要な部分が宙に浮いていました

その結果、現場の数値が未達なことに対して、責任を感じることもなくなぁなぁで1年ほど過ごしてしまいました

今振り返ると本当に、他責で、ビジネス戦闘力が低い1年を過ごしていたなと恥ずかしくなります

この局面を解決してくれたのは、Mtgでの清水の一言でした

「同じ時期に創業した他社はもっと伸びている。うちは責任所在が曖昧で、宙に浮いたボールが多すぎる」

この一言が、確実に自分のビジネス人生の分岐点となった、間違いなく

その後、二人で大阪出張行っ夜にガッツリ話して、清水はコーポレート、肩はマネジメントという明確に役割を分けました

その結果、遠慮なくマネジメントに関わるルール作りや施策を打てるようになりマネジメント領域の浮いたボールがなくなりました

ただ、数値責任も追うことになり、プレッシャーもありました そんな時、清水だけでなく、代表の木城(@gekokujyoupt)も

「肩くんがその領域(マネジメント・組織)に関して一番考えているから、肩くんがそれでいいと思ったらそれでいこう」と心理的安全性を確保してくれたことが挑戦できた要因だと思う

当時は価値観や仕事のスタイルのズレってあるよねという空気感だったからこそ、この何気ない一言がプレッシャー跳ね除けて挑戦できた要因だと思う

僕自身が追う数字を明確にした後は、マネージャーが負うべき数字も明確にしました

その数字も根拠を持って納得感があるかつ、現状維持では到達できない設定にした

この75/75/40は標語のように社内文化として浸透しており、マネージャーだけでなくどのスタッフに「うちが目標としている数値は?」と問うと答えられる

この定量的な目標数値をサラッと言える組織は強いと思う

定性的な部分はセラピストとしてみんな持っているからこそ、定量目標の言える化は重要

この辺りはオープンハウスの「行こうぜ1兆!2023」 インスパイアです笑

他にもこの時期に導入したは枝葉の施策はかなりあります

・教育部の設立
┗26疾患の病態•セルフケア・患者教育
┗マネージャー8名の接遇動画と解説動画

・学習シートの導入
┗デビュー後1ヶ月の学習ロードマップ

・インシデントレポートの導入

・価値観共有動画
┗代表、教育部、数字が高いスタッフのマインドetc

・月1回のマネージャーmtgの開始
┗ナレッジの共有 ・コミニュケーションの可視化

・1on1の導入
┗テンプレを作成し属人化の防止

・全スタッフからのサーベイ
┗課題の1次情報の収集 

・全店長との1on1
┗キャリアや会社に対する思いの本音を聞く場

・コツをマネージャーの共有する

顧客提供価値が上がる→スタッフ満足度が上がる→売上があがると考えられることを片っ端から実行・導入していきました

この時に、責任領域がクリアになるパワーを実感しました

ただ、ゴリゴリ施策を導入して結果がでていたので良いと思っていましたが、今振り返れば大事なことが抜けていました...... それが後期の失敗と今注力している施策になります

【多店舗展開を考えるなら、後期はマネージャー教育と価値観共有に注力すべき。でも結論は経営レイヤーをマネジメントに専念させることかも】


多店舗展開をする上、後期はマネージャー教育とマネージャーとの価値観共有・すり合わせに注力すべき

多店舗展開の中期においては、事業責任者の心理的安全性、セキュアベースを確保して事業に合わせたマネジメント手法を確立していくことが重要でした

後期においては初期同様に価値観の共有不足が問題となりました

失敗①マネジメント人数
事業責任者として、文鎮型組織でマネージャー14人にそれぞれスタッフ6人を担当してもらい、合計100店舗を運営する計画を立てました

理論上、マネジメントの限界は6-7名とされていますが、実際には全員がプレイングマネージャーで、日々の業務に追われる中、スタッフ全員の目標達成の支援とフィードバックに必要な時間を確保することが、報酬に見合わないほどの負担でした

準備が不十分だと1on1の質も低く、ただのノルマ達成のための1on1となり、信頼関係の構築にも繋がらないこともありました

これはマネージャーの問題ではなく、僕が設定したマネジメント人数が多すぎたからです

失敗②マネージャーの人数を倍増とやらされマネジメント

失敗①を改善するためにマネージャー1人あたりのマネジメント人数を6人から3人に減らしました
この変更により、各スタッフへの関わりが増え、マネジメントの質が向上しました

整体事業部の昇格は年功序列ではなく、定量評価に基づいて行っているので、最短で半年で昇格するマネージャーもでてきました

これにより、既存のマネージャーの負担が軽減されましたが、スピード出世が過去の失敗や組織の歴史の共有が疎かになるという問題がでてきました

また、中期で策定したマネジメント施策の意味や意図が薄れ、マニュアルに依存したマネジメントが進んでしまいました

この型化が進むことで、マネージャーたちに「やらされ感」のあるマネジメントに片足を突っ込ませてしまっていました

僕が組織の急拡大に注力しすぎたため、初期の学びである「価値観の共有」がおろそかになっていました

マネージャーの人数を増やす施策は正解でしたが、マネージャーには経営層・本部の価値観をより丁寧に共有すべきでした



原点回帰を図り、スタッフと同様にマネージャーとの価値観共有のための場としてマネージャー合宿を開催しました

この合宿では価値観を共有するだけでなく、会社の今期の目標を共有した上で、マネージャーとしてどのような貢献ができるかを全員で話し合い、合意をとったGOAL設定し、合宿終了翌日からのアクションプランを明確にするために、2日間をかけて役員、マネージャー、マーケティング部、教育部と事業に関わる全員がディスカッションをしました

課題であった、経営層・本部との価値観共有だけでなく、主体的なGOAL設定によりやらせマネジメントも脱却の一歩を踏み出せたと思います

また、マネージャー合宿にはもう一つの目的がありました

それは、本部‐マネージャー‐スタッフという単線型の組織ではなく、横や斜めにも相談し合えるネットワーク型組織を構築するための第一歩を踏み出すことです

この取り組みは現在、少しずつ形になりつつあります

マネージャーとの価値観共有と並行して、マネジメントの標準化、共通言語の獲得を目的にモーメンターの坂井風太さん( @fuuuuuta21)のプログラムを導入しました

1年前にDeNAのYoutubeチャンネルの坂井さんの回を見たのが導入のきっかけです

約2年間マネジメント、組織作りをしてきた自分のなんとなくの成功体験や失敗体験が動画の中でズバズバ言語化されていて、衝撃を受けたのを今でも覚えています

しかし、このようなプログラムほど「やらされ感」がでるので、解決策として5人の小さい単位→マネージャー全体と落とし込みました

また、インプットだけでなくアウトプットも行えるように独自の学習の進捗管理シートを作成したり、中間発表会、最終課題発表会と全員で学びをシェアする時間も設けました

自己効力感や組織効力感といった抽象度が高い言葉の共通言語化、1on1やマネジメントのコツ化など標準化もかなり進みました


セキュアベース理論は組織作り、とりわけリーダーやマネジメント層において非常に重要なことも学びました

セキュアベースが存在するかどうかは、組織が挑戦できる環境を築けるか、それとも挑戦を阻む環境に留まるかに大きく影響を与える

結論、後期ではマネージャーが共通言語で話せるようにマネジメントの標準化と、主体的マネジメントになるような価値観共有が大切です

今事業の立ち上げ期に戻れるなら、初期、中期、後期の施策を同時進行で行うと思います

しかし、現在ピラティス事業部のマネジメント基盤を構築している中で、急ぎ過ぎるとマネージャーの成長や制度設計が追いつかないというジレンマにも直面しています

94店舗までの組織拡大を経験して、組織の課題抽出と対応策の選択肢は増えたので、同じことをすれば成功確率は上がるし、時短もできるが、焦りすぎは良くないことも分かってきた

結局は、要所要所で数ある選択肢の中から期待値高いものを選び、リーダーが旗を振って進みながら、経営の求める成果が出るまでの時間軸と教育によって成果がでる時間軸に差があることを説明して腰を据えて進めいくことが大切

まとめ


初期、中期、後期と色々と振り返ってみたが、経営層の自分をマネジメント、組織作りに専念させてくれた他の経営陣の意思決定が良かったと心から思う

僕なりのn=1の経験値として、多店舗展開を考える際には、決裁権と責任を持たせた上で、マネジメントや組織作りに専念するポジションに経営レイヤーを配置することが、成功の確率を高めると思います

まだまだ弊社も成長途中ですし、僕自身ピラティス事業の組織作りの真っ只中

マネジメント・組織作りに関しては学んで行きたいですし、他社の悩みも聞きながら一緒に解決策も考えれてたらなと思います

マネジメントに悩んでいる事業責任者の方は情報交換させてください!DM待ってます!


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肩祥平
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