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Photo by
hono_soyo
親孝行
「母さんに喜んで欲しいしな……」
元同僚の男性が、これから先の話しをしていたときに、ふと漏らした
「そうなんだ」
とだけ返したあと、わたしの中では言葉が続いた
わが家にも、男の子がいる
男の子と言っても大学生で、もう成人した大人だけど
そのせいか、男性が母親に対して「親孝行」を語るとき、つい反応してしまう
「産まれてきてくれた以上の親孝行なんて、ないのに」と
だから元同僚の「母さんに喜んで欲しい」という言葉に、勝手に反応してしまった
「あなたが幼い頃に、充分喜ばせてもらったよ。トイレに行っただけで、後追いして大泣きしてくれる存在は、生涯あなたしかいない」
昨年、義父が永眠しました
その知らせを受けて、駆けつけたときも、
告別式で棺を閉じるときも、
誰よりも泣いていたのは、わが家の男の子
何度も何度も涙をぬぐう姿は、
会場中の涙を誘いました
そんな、おじいちゃん孝行の姿もまた、
わたしにとっては充分な親孝行に感じるのです
優しく育ってくれたねって
だから、男の子たちに伝えたい
今、あなたがいてくれる事実こそが
母親の喜びであり、最高の親孝行です
特別なものは何もいりません
産まれてきてくれて、ありがとう