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ロゴデザインを作るとき、私が知りたいこと。

私は日頃、デザイン分野のプロデューサーとして活動をしております。情報収拾をしていると、ブランディングやデザイン関連の素敵な記事をたくさん見かけます。これらの記事はいわゆる有益な記事なので、ここでいくつかご紹介します。

例えば、こちらの記事では、デザインとビジネスの関連性が紹介されています。「ブランディングやデザインにお金を使う意味って、なに?」と疑問に思っている方は、こちらを読むと疑問が解消されるかもしれません。

また、こちらは、Twitterでバズっていたロゴデザインのトレンドの記事です。世界でのブランディングの実例が載っていて分かりやすいです。

私が経営者や事業開発者、ブランドマネージャーだったとして、ブランディングやロゴデザイン制作を検討している際に、これらの有益な記事を読んだら「勉強になるな」と思うだろうな、と想像する一方で、一つ考えることがあります。「そういうのは分かったけど、で、うちはどうしたらいいのよ?」とも思うのでは、と。勝手な予想ではありますが、「ロゴデザインが必要な人=ロゴデザインを制作する人」ではないので、こういったロゴデザインのトレンドを知ったとしても、「で、自分たちはどうすれば良いの?」という部分で立ち止まってしまう気がするのです。

なので私は、これらの有益な記事をご紹介した後に、違う切り口の記事を書いてみます。この記事では、「ロゴデザインを作る過程で、なぜそんなにヒアリングが必要なのか?その質問の意味は?」と聞かれたと想定し、それに自分で答えていきます。

※同業の方や専門知識のある方にとっては、平たい内容に感じるかもしれませんのであらかじめご了承ください。

※本記事では、デザインという言葉を、①ブランディングにおけるVI、②マーケティングで言う4Pにおける、Productの中のパッケージデザイン、③4PのPromotionの中の広告・プロモーションに関連する制作物としてのデザインの意味で使っていきます。

ブランディング戦略ありきのロゴデザイン

「ロゴデザインを作ってください」という会社や商品/サービスは、覚悟や挑戦に基づき準備をして来た何かを外に対して見せていく段階にきています。ロゴデザインが必要になるのはその段階だからです。

準備は充分に整っているのか、足りない部分はこの段階で足すべきではないか。足りない部分の戦略策定をロゴデザイン制作と併せて提供するのが、私がロゴデザイン制作を請け負う際のスタンスです。

デザインという言葉で一括りにされがちですが、厳密に言うと、ロゴデザインとプロモーションツール(皆さんおなじみの、ショップカード、名刺、封筒、便箋、カタログ、ウェブサイト、パッケージデザイン、広告、CM、ポスター、内装、外装、看板、メニュー、デジタルサイネージ 等)は、役割が違います。ロゴデザインはこのプロモーションツールたちと横並びに考えられがちですが、ロゴデザインがボス。ボスと手下の関係性。カジュアルに例えるならば、ロゴデザインがバイキンマン、プロモーションツールはカビルンルンです。カビルンルンはバイキンマンの言うことを聞きますが、バイキンマンはカビルンルンの言うことを聞きません。

実はロゴデザインはプロモーションチームのボス的役割ですが、ビジュアル・アイデンティティ(VI)という上位組織に属しています。ここからアンパンマンの世界を飛び出し、大奥に行きます。ついてきてもらってもいいですか。大奥でいったら、ロゴデザインは、奥勤(おくづとめ)のお目見え以下。プロモーションツールは大奥には出入りできません。また、ロゴデザインのVIの同僚には、グラフィックエレメントやカラーパレット、タイポグラフィなどがいます。これらもプロモーションツール達のボスで、ロゴデザインと一緒になって口を出してきます。さて、これらのVI所属のロゴデザインたちは、奥勤をしているので頻繁に外出できず、プロモーションツール達の活動を随時見守れない環境にあります。そこで彼らは一丸となり、自分たちの指示を一つにまとめた書物を作り、プロモーションツール達に守らせるのでした。その指示書物をブランド・ガイドラインと言います。

まだ終わりません、ロゴデザインが所属するビジュアル・アイデンティティが奥勤(おくづとめ)だとすると、更に上位の最高権威組織があり、それが、ブランドDNAです。大奥でいったら、ブランドDNAは御目見え以上です。御目見え以上になれば、将軍や御台所に御目通り(会うこと)できます。ブランドDNAは役割の違う10人ほどで組織されています。

ロゴデザインですら御目見えできないのに、ブランドDNAは御目見えできる、つまりお分かりいただけますでしょうか。お分りいただけるよう願っています。プロモーションツールに指示を出す立場のVI所属メンバー(ロゴデザイン等)も、全ては御目見え以上のブランドDNAの意に即して行動している。ブランドDNAが最高権威、それらのトップには将軍がいます。ブランディングシステムは、大奥さながらの、超ストイックなトップダウン構造なのです。なので一つ話を戻すと、ブランディングの核である「ブランドDNA」を差し置きロゴデザインのみを作るのは不自然なのです。これが私がロゴデザイン制作にブランディングを抱き合わせている理由です。ロゴデザインは、ブランディングの一部です。

それでは、将軍は誰なのか。このブランディングを司る一番トップの存在は、経営陣です。ブランディングは将軍(経営陣)の言葉に従い進行されるのがスムーズです。大奥の例えは、経営陣が将軍という結末でいったん終わりにします、ついてきてくださりありがとうございました。

①会社

まず「御社について聞かせてください。」とヒアリングするのは、会社や活動母体についてです。創業した経緯、経営理念(ビジョン、ミッション、バリュー、行動指針)など。設定がなければ一緒に言語化していきます。言語化とは、ただ質問した問答を書面化することにあらず(これは文字化もしくは説明です)。答えを鵜呑みにせず深掘りしたり、質問への答えがない場合は答えを見つけるためにご担当者と深層に入っていったりします。一つの質問への回答はときに数週間に及びますが、経営課題と密接に関わるこの言語化の作業は一筋縄ではいかないことが多いです。

会社のロゴデザインを作る際にはもちろんのこと、商品/サービスのロゴを作る際にも、新商品開発のブランディングフェーズでも、既存商品のリブランディングでもお聞きします。会社ではなく別の組織体によるプロジェクトの場合は、その設立経緯も詳しくお聞きしています。

会社(組織体)とそこから産まれた商品/サービスは、親と子に似ています。産まれた、という表現は、まるで子どものようです。実際のところ、会社と商品/サービスは切っても切り離せない関係。瓜二つの場合も、そんなに似ていない場合も、ときに隠し子の場合もありますが、全く類似点のない会社と商品は見つけるのが難しいです。

商品/サービスのロゴ開発においても経営理念についてお聞きするのは、親である会社がその子どもをどう育てたいかという「育児方針」を知っておきたいからです。誰かのお子さんがうちに遊びに来た時に「うちはチョコレートを何個食べてもいいと決まっている、いっぱいちょうだい」と子ども本人が主張したとしても、あげる前に親の育児方針に合っているかどうかは確認しておきたいものです(うちはチョコレートは一日に二粒までと決めています)。

そう言った意味で、つまりブランディングとは、経営課題です。進行する上で、親(経営者)にしか答えられない/決められない本質的な質問が多々発生します。マーケティングやPRのご担当者がブランディングを担当している案件でときに違和感が出てしまうのは、このためです。

②創業の経緯や商品誕生のストーリー

「この会社(商品/サービス)はどのような経緯で創業した(生まれた)のでしょうか?」この質問では、あなたのお子さんのお名前をお聞きして、それを新商品のブランド名につけようとしている訳ではありません(この決め方はエモいですが、安直で戦略不在なのでオススメしません)。ここで知りたいことは、ブランドの独自性です。ときにこの質問で、創業者の個人的な部分に足を踏み入れざるを得ない時もありますが、慎重になりながらもヒアリングを進めていきます。

なぜかというと、この部分はブランディング戦略の重要な部分を担うからです。昨今、イノベーションとテクノロジーの進化、市場の成熟化が起きていますね。はい出た横文字。でもきちんと説明するので離脱しないでくださいお願いします。この社会の流れが商売の世界にどのような影響を与えているかというと、「同じような高品質レベルの似たような商品がいっぱいある」状況が起きています。かつて高品質は差別化のポイントでしたが、昨今は競合が出てくるようになり、高品質だけでは競争力が失われつつあります。これを、マーケティング用語でコモディティ化と言います。これは業界のせいでもなく(あらゆる業界で同じ現象が起きている)、商品開発が怠けている訳でもなく(あなたの商品はすでに素晴らしい)、あなたの商品の機能価値が優れているならば、他もおしなべて素晴らしい、を意味しています。モノがなかった時代と対極的で、モノがあるし何ならさらに似たモノを作れる時代です。フィギュアスケートを思い出すと分かりやすいかもしれません。大会を見ていると選手たちは我々を感動させてくれますが、選手一人一人の技術と個性の差はもちろんあるにせよ、詳しくない私から見たら「全員、超絶お上手」です。100点満点だとして、70点台か80点台かで競うのではなく、みんな95点は取れている印象。何なら優勝するために、99点を取った選手同士がその後の99.●●という小数点以下を競う頂上決戦をしているような状態です。

今そして今後、ビジネスを続けていく上では、このコモディティ化と向き合わずにはいられません。しかし、なげく必要はない。商品の機能価値がほぼ似通っていたとしても、情緒的な価値で差別化はできます。つまりどういうことか。スペック、原材料といった機能性価値以外の部分がカギということ(飛び抜けて独自性のあるスペック、原材料なら、もちろんそこも魅力的な差別化ポイント)。全人口の中に全く同じ人間が二人といないように、会社や商品/サービスもまた、まったく同じ商品は存在しません。その独自性のヒントは、会社の設立経緯や商品の生まれた経緯に潜んでいるケースが多いのです。新たな要素を付け足したり作り上げるのではなく、実在の創業ストーリーや誕生秘話から、隠れているけど独自性のある魅力をフラットな目線で掘り当てようという魂胆がこの質問の意図にはあります。

③ブランドビジョンと提供価値

「このブランドは何を目指していますか?」「そのためにどんな価値を提供しますか?」という質問も、します。

ブランドの目指す方向性と独自性、それを叶えるための商品の価値を知りたいからです。なぜなら、商品を売るために非常に重要だから。

例えば、ミレニアル世代(1981-1996年生まれ:2019年に23-28歳)は、10人中9人が「価格とクオリティが同じなら、良い理由(商品やブランドのビジョンに共感できるかどうか)によって購入するブランドを変える」という調査結果があります。(https://www.conecomm.com/research-blog/2015-cone-communications-millennial-csr-study#download-research)

Apple社の理念に基づく商品展開はあまりに有名ですが、日本でも例えば、急成長をしているゲーム会社アカツキの代表取締役、塩田元規氏が著書の中でビジョンの大切さを説いています。

だんだん話が小難しくなってきましたね。離脱したくなるかもしれません。「何言っているかよく分からない」という方は、気分転換にこのyoutube動画をどうぞ。サイモン・シネック氏が、私がここで説明したい内容を話しています。この動画、再生回数がエゲツないですね。

ちょっと元気になって、ゴールデンサークル理論についてもっと知りたくなった方は、イケてるデザイン会社Goodpatchの代表土屋さんが書いたこのnoteがオススメです。ぜひ読んでみてください(そして絶対この記事に帰ってきてくださいね、あなたのお帰りをお待ちしております)。

商品の価値を、機能価値だけで語る時代は終わりを告げようとしています。日本茶の価値は、水分補給とカテキンだけでしょうか。車の価値は、移動手段と安全性だけでしょうか。コロコロコミックの価値は、情報量と重量感のあるボディ(鈍器としても有効か?)だけなのでしょうか。だとしたら、タピオカミルクティの機能価値はデンプンと乳成分と砂糖と水分補給ですね。それが欲しくてみんな列をなして買っていたのでしょうか。彼らが並んでまでダイエットの対極にある商品を買うのは、「みんなで並ぶエンタメ性」「美しいものを見て華やぐ心」「写真に撮ってSNSにアップしみんなと共有しながら生活を豊かにする」などもあるのではないでしょうか。

また脱毛エステが提供しているサービスの成果物は「ムダ毛のない肌」ですね。「ムダ毛のない肌」が手に入っただけで、それを眺めて満足するのでしょうか、そのためだけに何十万も支払うのでしょうか。彼彼女らが手に入れたいのは「ムダ毛のない肌」だけでなく、毛深いとコンプレックスに思っていた人にとっては「コンプレックスのない人生」「のびのびと肌を露出できる開放感」「みんなで海に遊びに行く楽しみ」「心おきなく恋愛を楽しめる」「自分への自信」に繋がる可能性があります。

食品でいったら栄養価、車でいったら燃費と性能、テレビでいったら画素数、PCでいったら処理能力の早さと保存できるメモリーの容量。どれももちろん大事で必須ですが、スペックだけでなく、それらを手に入れたお客さんの生活にどのような情緒的インパクトが与えられるのかは、超重要です。情緒的というのは、気持ちや感情です。幸せ、嬉しい、楽しい、美味しい、気分が良い、気持ちいい、自信がつく、明るい気持ち、つらい、悲しい、怒り、勇気づけられる、奮起する気持ち、など。心をゆさぶったり、落ちつけたり。あなたの商品/サービスがある世界とない世界は、誰かにとって違うはず。その誰かが、あなたの商品/サービスのお客さんになります。

そしてこの辺りは、値付けに大いに関わってきます。なにを提供価値(機能価値と情緒価値)と位置付けるかにより、ときにどこを競合と考えるかも変わります。

④競合

「御社( or この商品/サービス)の競合と考える商品を3つほど挙げていただけますか?」という質問で知りたいのは、ブランドのポジショニング、つまり市場での位置付けです。端的に言うとこの商品のライバルはどこ?です。

ライバルを知るのは非常に重要です。敵を知らずして敵には勝てません。

なお、この質問は、初期段階にお聞きした後に、他の部分が固まってきた頃にまたお聞きするケースが多いです。ご担当者が考えていたのと市場の設定自体を考え直す時もあるからです。

2017年に私がブランドプロデュースを任せていただいたこちらの商品、開発初期にご担当者が競合として挙げていたのは、幾つかのクラフトビールでした。このクラフトビールは、日光という地域のアピールをする目的で産まれた商品です。アピールをする目的を考えると広く愛されたいので、ビールやクラフトビール好きの玄人はもちろんのこと、どれだけ「普段クラフトビールを飲まない人たち」に飲んでもらえるのかが大事になってきます。開発が進むにつれ、こちらからご提案したのは、「この商品をビールと捉えるのではなく、リフレッシュな気分のお供と捉えましょう」です。栃木のコンビニで、若い女の子たちが夜飲む飲み物を物色している際に、「いつもは炭酸水を飲むけど、今日は旅行で特別な気分だしこれ買っちゃおうか。可愛いし!キャイキャイ」と買われるシーンを想定しました。そうなってくると、競合は他のクラフトビールではなく、炭酸水です。普段なにげなく買っている炭酸水をやめてまで、単価が高くて飲み慣れていないクラフトビールを買う理由を作るには、感情のドライブに頼るのが一番。理屈じゃないのです。16世紀にオランダのエラスムス先生が、感情は理性の24倍強いと言いました。先生ありがとうございます、納得です。こうして、見た目でパンチの強いおふざけ全開のお茶目なパッケージデザインが生まれました。

ビールがない時代に初めて出たビールと、スーパーマーケットにもコンビニにも所狭しと並べまくられている状況で新たに生まれるビールは、環境が随分と違います。今はビール類でいったら、ビールだけでなく発泡酒も第三のビールもある。酒類でいったら、ワイン、日本酒、缶チューハイ、などもある。そもそもお酒を飲まない人もいる。「お酒を飲んでリフレッシュする」のが娯楽とすると、「今日はお酒を飲まないで家でNetflixを観る」も娯楽。ビールの競合は映画、プチ贅沢な缶詰、Kindleの本、Twitter、入浴剤なのかもしれない。競合は果てしなく挙げられるのです。

⑤伝えたい相手(ターゲット)

「この商品は、どういう人が買いますか?」

B to BでもB to Cでも、売るものと買う人が存在しています。この質問で、伝えたい相手(ターゲット)を決め、関係性を作りたい相手を明確にしようとしています。

その商品のヘビーユーザーなのか、はたまた慣れていない方なのかによって、話し方は変わります。例えば高級な蕎麦があったとして、蕎麦を食べ慣れていない方にこれを買っていただきたい時に「石臼挽き」と書いて意味が通じるでしょうか。そういう方にとっては本当の意味より「なんか凄そう」という印象が伝わる可能性があります。印象こそ大事ではありますが、印象以上に情報を伝えたかったら「香り高い」と一言添えたほうが親切かもしれません。

B to Bのビジネスでも、ターゲット設定は大事です。一般的にはB to Bビジネスの場合は「安心感」をアピールすると効果的です。片平も同感です。ごく一部の大企業を除き、誰も知らない(まだ知られていない)会社が自分の会社をアピールする際、安心感以上に優先度の高い個性などないと断言できます。

会社としてきちんとしていること。ヤンチャでも品が良いこと。ジャージ姿で会社訪問はできません。寝癖を個性と言ったとしても、初対面の商談で寝癖が付いていたら2秒で「ないな」と思われます。それと同じく、「ロゴが安っぽい」「ロゴが頼りない」「小さな会社に見える」などの印象は不利にはたらくことはあっても逆はないでしょう。

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こちらは、BILJ社のロゴです。BILJ社は20年ほど続くスイスのお菓子メーカーで、社員が100名近くいる大きな会社です。可愛らしい動物の形をしたチョコレートスナックが子どもに人気です。丸いフォルムのオモチャのようなロゴが特徴的で、フランスやイギリスなどのスーパーに行くとお菓子コーナーに商品が並んでいます。そちらに行かれた際に、見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

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すみません、ウソです。この記事内で唯一の。

こちらは、2019年に私がブランディングとロゴデザインを任せていただいた、BILJ社の会社ロゴです。BILJ社は、花酵母というパンの原材料を取り扱うB to Bの食品メーカーです。社長とサポートメンバー数名で活動をする小規模な会社です。扱う商材が食品であることから、安心感を感じさせるロゴを目指しました。会社は小さいですが、野望は大きくふくらんでいます。BILJ社は今後、規模感の拡大が見込まれるので、デザイン戦略としては実態(現時点での社員数や会社の規模感)に合わせて謙虚にするよりも、野望のサイズ感をデザインで表現しました。パンという商材はもちろんのこと、BILJ社の田中社長はパリでパンに目覚めたという、お洒落なオーラの方です。BILJ社にとって、商談のお相手(お客さん)はパン屋さんです。パン屋さんに対して堂々と商談が行えるよう、普段から忙しいパン屋さんに瞬時に「話を聞いても良いかな」と思われるように、どことなくヨーロッパの老舗お菓子メーカーを思わせるような堂々とした風格を、BILJロゴに持たせました。

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併せてメンバーの名刺、花酵母の活動ツールなども作りました。このロゴを導入してから数ヶ月で、取扱店舗が300%に。即座に嬉しい結果が出たお客さんであり、そもそも商材に独自性があり面白いので、今後の展開に期待大です。

⑥販路や流通計画

「どのような販売方法で、どこで売られますか?」この質問は、流通の強さや販売場所、販売方法を知りたくてしています。

なぜ流通の強さが知りたいかと言うと、流通が弱い会社の商品は発売後に苦労するのを知っているからです。発売後の戦いが劣勢だとあらかじめ分かれば、それなりの準備ができます。

販売場所や販売方法を知りたい理由は、物理的にどのような環境下で置かれるかがデザイン戦略上で大事な情報だからです。特に、その環境下でどのような競合商品に囲まれているかです。

ストッキングブランドのデザインを担当していた頃。マルイや百貨店、スーパーマーケットの売り場をまわり、こっそり写真を撮ったり競合商品を資料として買いあさったりしました。後発でブランドを出す場合、競合商品とは色やデザインのトーンで差別化したいものです。自店舗のないメーカーにとっては、売り場は戦場。広く取れたほうが売り場では目立つので、「担当者が色々と入れたくなるようにラインを使用シーンごとに3ラインに分けて展開しよう」「単体でも品良く可愛いが並べるともっと華やかになるようにカラバリを考えよう」など、お客さんと一緒に競合を横目で見ながら、パッケージデザインを開発していました。

今だと、メインの販売方法がネット販売という商品も多いです。その場合、ショッピングモールサイトに置かれるのか、自社サイトで販売するのかによって戦略は変わります。ショッピングモールサイトに置かれる場合は、ロゴデザインやパッケージデザインは競合商品と並ぶので競合商品については調査し目立つように対策しておきたい。初めての方にに見てもらいたいならまずインパクト重視だし、指名買いならパッと見て「これこれ」と目印として機能すると良し。一方で、ブランド力が強く、ファンも多く、単に自社サイトで売るだけならば、主張が強いデザインは声が大きすぎて逆効果。それよりは、しっとり落ち着いた印象で世界観を伝えながら、より愛される商品にしていきたいな、などと考えを巡らせてパッケージデザインに反映していきます。

無形商材(サービス)の場合は、さらにネーミングやロゴデザインのインパクトに気遣います。無形商材は、伝えたい相手にサービス内容を見てもらえる機会と面積が少ないので(実体がないから)、できる限り有効に活用したい。簡潔に、覚えやすく、愛嬌を添えて。自己紹介の持ち時間が少ないならば、せめて名前だけでも覚えてもらえるようにと。「イケてるネーミング戦略」は、私の得意技です。

⑦強みと弱み

「御社やこのサービスの強みと弱みはどこですか?」という質問からは、強調すべき点とカバーすべき点を探っていきます。

完璧な人などいないのと同じで、完璧な商品は、もちのろんで存在しません。ロゴデザインでは、魅力を最大限に引き出したいのです。

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2017年にロゴデザイン制作を任せていただいたジュエリーブランドROSWAY。代表者の松本浩氏は、元ビジネスコンサルタントで個性とキャラクターの強いこだわりジュエラー。シャンパンをこよなく愛し、感受性の強い風流な方です。

彼の個性の強さは、片平個人的には大好き。一方で、ROSWAYの商品は、カラフルな宝石をふんだんに使った華やかなジュエリーたち。

キャラが濃い商品×キャラが濃いジュエラー=濃厚。

濃すぎるキャラは、初対面の方からコンタクトのハードルを高く感じさせてしまう傾向にあります。キャラが濃いジュエラー松本氏は商談の場で必ずお会いできるのでロゴデザインには反映させないように決め、ロゴデザインはシンプルで強く、余白の緊張感を意識したデザインにいたしました。

一歩引いたモノトーンのロゴは、カラフルな宝石たちを引き立たせる意味もあります。

またROSWAYの強みはオリジナリティ、つまり一点モノ。大量生産で大量消費、とは真逆をいく、一点一点オリジナルの商品です。ロゴではダイヤモンドのカットを意識しROSWAYオリジナルのROSWAYカットを再現しました。このロゴはよく見ると、ROSの3文字で構成されています。「HIROSHI(松本浩氏)の道=ROSWAY」です。浩氏の想いをロゴマークにグイッと入れ込みました。

⑧色々

これ以外にも、「プロジェクトの規模感や予算感を教えていただけますか?」という質問から、ブランディングの掘り下げレベルやその時点で求められるデザインの強度を推し測ったり。「このブランドは車でいったらどんな車ですか?」「この会社はミュージシャンでいったらどのバンドが近いですか?」などの質問からブランド・パーソナリティを探ったり。「洗練と無骨、暖かいとクールな印象....どちらが近いですか?」などの質問からブランドのトーン&マナーを設定していったり。ブランディングという行為は企業の経済活動において長期的で本質的な存在なので、表面的にならないよう心がけ、こうして質問を重ねながら一つ一つ確認し、着々と作戦を練っていくわけであります。

一つ一つの質問にスムーズに答えていただけたら、わけはないです。発売後の流通について質問をした際にはじめて「流通対策しっかりしておかなくては」と気づくお客さんもいます。そういう場合、その部分への対策のアドバイスをするケースもあります。そこで私が「流通はマーケティングの話で厳密に言うとブランディングの範疇を超えているので、私は知りません」と思っているでしょうか、そんなことはありえません。私は、この抜け漏れの指摘自体を価値提供だと考えています。ロゴデザイン制作は、飛行機でいったら飛び立つ前の準備段階。作って終わり、ではありません。ロゴデザイン制作の過程を、無意識部分の言語化と物理的な課題対策として活用してほしいです。

このように、ロゴデザイン制作を通じて、会社経営、そこに寄与する中長期目線の先行投資であるブランディング、売上のためにはそれと同時並行で行うべき短期的プロモーション、と調和をはかって全体的に進めていくのが、私のお仕事スタイルなのでした。

自分の経営する株式会社Baby Tokyoは、今月末で3期目を終え、2020年2月から4期目に入ります。私自身が経営者として会社経営に精を出し、丸3年を迎えようとしています。まだ小さな会社ではありますが、自身が経営者となり全予算を管理した経験は何にも代え難く、その経験はお仕事を任せていただく際の責任感や予算の重みを再定義するのに充分すぎました。自身がプレイヤーとして、クリエイター達と一緒になりデザイン制作を楽しんでいた時代と今とでは、視座と感覚が一気に引っ越ししてしまったようです。

ただ自分としては、今の自分が一番好きです。いい感じに仕上がった状態なので、パフォーマンスは最大級です。なので、最後に少しお仕事のお話しさせてくださいませ。

もし、ブランディングやロゴデザイン制作を投資と理解し、企業の経済活動に長期的にお役立てたいという経営者の方、ご担当の方がいらっしゃったら、弊社にご相談いただけたら嬉しいです。Baby Tokyoでは現在、ブランディングやデザインでお手伝いさせていただけるパートナー企業さまとのご縁を探しております

ブランド戦略つきロゴ制作サービス(3ヶ月〜)

企業や商品・サービスの戦略設計と、ロゴ制作をします。簡単に言うと、私がが上記のような質問をしながら、売るための作戦とロゴデザインを一緒に完成させます。方法は、状況に応じて対面でお打ち合わせを重ねたり、オンラインを組み合わせたりします。ブランド戦略つきなので、納品までに3ヶ月以上かかります。納品物:改善案つきの定期レポート、ブランディング戦略のステップシート、社内外チームメンバー共有用のブランディング方針マニュアル、ロゴデザイン、ロゴデザインのバリエーション、VIガイドライン等。追加で各種プロモーションツール制作も承ります。

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「うちの場合、ぶっちゃけ何をやったら良いのよ?」という質問にお答えします。

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