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家業の柱をつくる新規事業

日光のクラフトビール THE NIKKO MONKEYS、ブランドオーナー鶴巻さんと、東京でお会いできました。5年前に、私がブランドプロデュースを任されたブランド。コロナを乗り切り、海外展開や工場増設など徐々に確実に成長しているとのこと。

このブランドの表現コンセプトは、「ジャケ買いされるクラフトビール」です。 ブランドオーナー鶴巻さんは、このビール事業を「日光に人を呼ぶ」ためにはじめました。日光で100年つづく観光土産屋に生まれ、日光という地域に人生かけて貢献していこうという鶴巻さん。彼にとって、このビールは存在意義は「日光に人を呼ぶ」ためのフックなのです。ということは、このクラフトビールは、一種のプロモーションツールとして機能するのがよい。暴力的に派手でかわいいパッケージを目指しました。補足しますが、自分たちの手で拡大培養した酵母と、奥日光の水で作っているので、もちろん味もおいしいです。

クラフトビールに詳しくない人も買えるようなクラフトビール。かわいいだけで買ってくれてもOKです。日光に人を呼ぶためのツールとして、このクラフトビールが日光のPR大使として県内で消費され、県外に日光の存在を知らせるきっかけになるようにしました。

2018年に生まれたこのビールは、コロナ禍を乗り越え、母体の企業、三本松茶屋を支える柱のひとつになりつつあります。100年つづく老舗企業の新規事業として、理想的な状態ではないでしょうか。ブランドオーナー鶴巻さんのビジネススキルによるところが大きいです。こうして生まれる際にご一緒させていただいたブランドを育ててくれていることに感謝の念を感じます。

都内と日光を繋ぐ東武鉄道のスペーシアXが、7/15にデビューします。ニュースでご覧になった方もいるかもしれません。車両内の食堂車には、THE NIKKO MONKEYSを生み育てている三本松茶屋のブルワリーNIKKO BREWERYのビールが採用されたそうです。

もともと、観光名所として安定感のある日光において、革新的な外向きの動きをする人は少なかったのです。そこに危機感を感じ、警鐘をとなえていたのが、このブランドオーナー鶴巻さんです。日光に新たな層を呼ぶために、理想の顧客を「美的感覚にすぐれた若い人」として、我々の提案したこの奇抜なパッケージデザインを採用しました。

5年前、現地調査に伺った際に、モチーフとなる動物を探していました。日光といえば、ニホンザルですね。ヤンチャなニホンザルの獣害にこまらされている日光の方たちも多いと聞きます。ニホンザルの話になったときに、ブランドオーナーの鶴巻さんがイヤそうな顔をしたのをみて、これだと思いました笑。地元で疎ましい存在ながら無視できない。観光業のあり方をアップデートしようとしている鶴巻さんは、既定路線を守りたい人からしたら疎ましいが無視できない存在だろうと思ったので、このビールはニホンザル をモチーフにしました。

イラストは、生命力あふれるイラストを得意とされる下田昌克さんにご依頼し、これでもか、というくらいニホンザルを描きまくってもらいました。全部ちがうニホンザルなので、このビールを飲みながらパッケージをながめていると、次第に酔いがまわってくるという仕様になっております。

さてこのクラフトビール。 「日光に新たな人を呼ぶ」という目的のために、新規事業を立ち上げ、工場や人やチームをつくり、デザインに力を入れて、はじめたところ、5年経って、安定的に売上がたつようになり、家業の柱の一つになっていきました。toBの文脈でも新規事業の目的と志、成果が認められ、新たな取引先が増えている。これはアトツギ社長の新規事業として、一つの理想ではないでしょうか。

事業もブランドも、一気には育ちません。しかし、育てないと育ちません。未来を見すえ、今から取り組みましょう。家業の柱をつくるための新規事業をお考えの方は、ぜひ、お話しお聞かせください。

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