失くし物は袈裟でした。
正確に言うなら絡子(らくす)、簡易袈裟ですね。
虚無僧さんがつけてるやつ。
一体全体どうしたら失くすことができるかなと思うくらい大切なものなのですが、ある日突然見当たらなくなってしまったのです。
路上に虚無僧に行った時、カバンから落ちた?いやー信じられない。
家中探しても無い…。
頂いた代わりのものがあったので、それを使っていましたが、何となく自分が偽物っぽく見えてくる。
失くした袈裟も頂いたものなのですが、谷派の松本虚山師が使用していたもの。生地も褪せてすぐに破れるほど弱っていますが、やはり貴重なものだったです。
売っているものではなく作ったものだったと思います。小さめなんです。
ああ、二度と同じものには巡り会えない…。「執着を捨てるのだ」と自分に言い聞かせ、諦めました。
そして、自分で作ろう!と思い立ち調べてみました。
何と型紙がネット上でダウンロードできたのは良いのですが、めっちゃ大変そう💦
あの繋ぎ合わせてあるの適当じゃ無いんですね。折り方決まってて、しかも手縫いだもんねぇ。ミシンじゃダメなんだよねぇ。
その上、絡子環という、丸い輪っか。
また調べてみたら高いんですわ。
そりゃそうだ。仏具だし。
木工作家の人に作ってもらう?それとも自分で作っちゃう?
うーん…
そうか、岐阜の竹内史光門下の師匠達に、いらない余ってる虚無僧グッズを着払いで送ってもらおう!断捨離してる人いるかも知んない。笑(いや、そろそろ皆さん終活か)オイオイ縁起でもない。
でもホントに手紙書いてみよ。
ま、ともかくそんな事を考えながら、芝居関連の遠出の為にケースに荷物を詰めていて、脇のポケットを開けたところ、折りたたまれた絡子発見!
何でここに⁉️
おおお〜!
「あったーーーー!」
と、チャンピオンベルトを頭上に掲げる様に絡子をかかげていた私。嬉しいと人間は自然にバンザイするんですね笑
さて、見出し画像にあるように、絡子の裏にこんな文字が書いてあります。
契理亦非悟
何となく漢字で分かる気がしますが、どなたか詳しくご存知の方、教えて下さいまし🙏
そして、昭和両年戌孟春
昭和2年と言う事は、松本師匠の生まれる前に書かれたものとなります。松本師匠もどなたかから受け継いだものなのでしょうか。
(その後、堀勝三さまから「昭和丙戌かな 昭和21年ですね」と教えていただきました!)
長篠山裡、とは愛知県に長篠山医王寺というお寺がありますが、そこで書いてもらったものでしょうか。今となっては知っている人はもう居ないかも知れません。
いやはや、
記憶喪失(物忘れ)は、無駄に体力や精神力を使いますね。
皆さんも、くれぐれもお気をつけて!