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20分の奇跡☆下北沢コム活

下北沢と言えば、演劇、音楽、アート、古着屋など、サブカルの街、そして若者が集まる街で知られている。

若い頃は、ライブを聞きに行ったり、自分も個展をやったり…、芝居は今でも観に行ったり時々しておりますが、最近はもっぱら虚無僧でお世話になっている。


改札口すぐ横のいつもの場所に陣取ると、


左の方からは、ギターか何かを弾いて歌っている声、

右の方では「6時から無料お笑いライブやってま〜す」の声(行きたい…)、

後ろでは、ワンちゃん猫ちゃんの募金の声、


生の声が響いている素敵な場所だ。


吹き始めてすぐに、しばらく立ち止まって聞いてくれていた人が話しかけてくれた。


「あの、片羽さんですよね?」


お、尺八関係の方かな?

と思ったら、


「2年前に下北沢で声をかけたものです。今日はこっちで吹いているんですね」


なんと、そういえば別の場所で吹いていた時がありました。

名前まで覚えてくれていたんですね、いやはや有難い🙏


周辺が騒がしい割には、通りすがりの人が立ち止まって聞いてくれている感じがするし、チャリンと入れてくれる。


暫くすると今度は、年配のご婦人が声をかけてくれた。


「あなたは一体どういう人なの?」


お、この質問は時々聞かれる。


手短に、普化宗のこと、虚無僧のこと、京都に明暗寺があるとのこと、曲を吹き継いでいるとのことなどを説明する。


そのご婦人曰く、


「私、近所に住んでるんだけどね、あなたを初めて見たわ。普段はどこでやってるの?こんなに若い人がたくさんいるのに、もっと聞いてもらえたらいいのにねぇ。感動しちゃったわ。」


とのご感想。


いやはやこちらこそ、そんなこと言っていただいて感動です。


そして近づいてきたこれまた別の年配の女性に、「尺八ですって、いい音色よね〜」なんて話しかけている。

下北沢は、若者が大勢集ってくるのだろうが、近所に住んでいる年配の方もそりゃ大勢いるんだろう。


また来てくださいね〜なんてその女性が立ち去っていき、


その直後に、


お巡りさんがやってきて、


近所の人に迷惑なんで。


と、


排除された。



・・・はーい。涙



まぁ、致し方ない。
楽器は煩いと感じる人もそりゃいるのだ。
通報の無い場所にお巡りさんは排除には来ない。

「調子」「虚鈴」を吹いて「紫鈴法」を吹き始めた頃のことなので、20分もたっていなかったかも知れない。

短い間に皆さんに気がついてもらえて良かった。
お巡りさんにも気づかれたけど。


しかもその後、インスタグラムに下北沢であなたを見ましたと写真を撮ってくれた方から連絡があった。カッコ良かったなんてメッセージまで頂いたのです。

その方のインスタ↓

そんな事もあるんですねぇ。
しかも、若い方に。
嬉しいですねぇ。
やってて良かったですわ。

何時間吹いていても誰からも反応が無い『虚無僧を見かけたら近づいてはいけませんDAY』なのかなと言う日もあれば、ほんの数分の間に色んな人に気がついてもらえる『虚無僧感謝DAY』な日もある。


奇跡だなーと思いました。

大袈裟ですが。
これがタイトルの所以です。



その後、


やはり20分で帰るのも何なので、吉祥寺でまた虚無僧をやり直した。



そこで、1時間くらいは吹いたと思うのですが、目の前には大勢の人々が行き交ってはいるが、立ち止まる人は無く…、


敗退…。



電車に乗って帰ろうと駅に向かい、


ハーーーーッ


と空を見上げたら、お月さんがいらしたのです。

(タイトル下北沢なのに見出し画像が吉祥寺なわけです。)


人は何故、モヤモヤした時とか何か上手くいかない時は空を見上げるのでしょうか。


20代の頃、会社を辞めようと思った時にも、長良川沿いの仕事場のホテルから河原の駐車場に向かう途中、堤防から空を見上げ、

ハーーーーッと深い息をついたことを思い出した。


目の前には、美しく清らかな長良川に、金華山に連なる緑濃い山々。

私はこんな事をやっている場合ではない。と社員からフリーになろうと心に決めた時でした。


その仕事内容と言うのは、結婚式の舞台照明。舞台業務の中でも景気の良い頃はホテルの大広間やホールなどで結婚式が盛大に行われていたことがあり、私は大道具ではあったのだけれど、照明係にまわされピンスポットなどをやっていたのだ。地域性というのもあるのだろうけど(東海地方特有の派手な結婚式)、ステージの床板を外すと噴水が出てきたり、ホールの壁にはゴンドラがあって新郎新婦がそこからスモークと共に降りてきたりと、色々な演出がされた結婚式が催されていた。

今となってはそんな仕事があること自体有難い事なんだろうけど、その頃は、ピンルームから見える「飽食」を見る事が耐えられなかった。

結婚式自体は喜ばしい素晴らしい事だと思う。「お母さんへの手紙」では必ずもらい泣きをしていた。


ですが、式が終わってから、客が残した大量の食事がザッザッと捨てられて行くのを見ることが耐えられなかったのだ。

悪い空気も、ホール中に充満していた。

自分が食べ物を捨てているわけでは無いのだけれど、私はそれに加担しているような気がして我慢がならなかった。


物事に対する関わり方は、今でも変わらない気がする。だから企業や会社に属することがいつまでも出来ない。


多かれ少なかれ搾取しないと会社というのは利益が出ないし、環境の事など考えていたら儲からない。
実際どこもかしこもSDGsどころではない。
大量の無駄やゴミを出しつづけている。
企業どころか国の軍事費なんて最たるものだ。

悲しいかなそれは私には止めようが無い。
関わるのを止めることくらいしか出来ないのだ。

そして、万年バイト人生が始まるのでした。



・・・と、

また話が脱線(暴走)しましたが、


まだ続きがあって、


帰宅後、今度はX(旧Twitter)に(多分吉祥寺だと思うのですが)あなたを見かけましたというメッセージを頂いたのに気がついた。


いやはや、

ちゃんと聞こえていたようです。


メッセージ感謝です🙏


虚無僧は、世の中の役には立っていないけど、こんな人がまだいるのね、と安心材料になればと思います笑



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kataha
古典本曲普及の為に、日々尺八史探究と地道な虚無僧活動をしております。辻立ちコム活に投げ銭チップしていただけたら嬉しいです🙇