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復讐の女神ネフィアル 第4作目 『孤島の怨霊』 第4話

 アルトゥールとしては舌打ちしたくもなる状況だった。完全に油断していたわけではないだろうが、リーシアンは炎を避けられなかった。
 ここで北の地の戦士を責めるつもりはない。個人的な友誼(ゆうぎ)の他にも理由はある。今もこれから先も、この戦士は貴重な戦力であり味方なのだ。死んでもらっては困る。これは冷たい打算のようであるが、実のところは戦士の実力や気質を信頼しているからでもある。

 アルトゥールは咄嗟(とっさ)の判断で《熱からの防護》を掛ける。続いて《冷却》。
 幸い、クレアはリーシアンから離れた位置にいた。激しい火炎を逃れた彼女は、水晶を先端に付けた杖(つえ)を振って氷の冷弾を浴びせる。もちろんリーシアンにではない。白ローブの女の幻影があった場所にである。火炎は少しの間だけ勢いを弱まらせたが、また火の手を上げた。
「リーシアンさん、大丈夫ですか?!」
 クレアは叫んだ。案じる心に偽りはない。それでも即座に駆け寄るような真似はしなかった。火炎に自分まで取り巻かれては元も子もないからである。

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