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【創作論】『一理ある悪役』の書き方についての個人的な考え

 悪役にもいろいろいるとは思うのですが、今回は悪役でありながら純粋悪ではなく、一理はあると思わせるタイプや、主人公と対立する『正義』というか大義名分というか、そうしたものを持っているタイプの書き方を語りたいと思います。

 結論から言うと、「極論を言い、なおかつそれを強引に実行する力がある」だと思います。

 どんな正論や真っ当な意見も、とことん突き詰めれば極論となり、極論を強引に推し進める奴は害悪となります。

 そんなわけです。

 今回はハイランなるキャラクターをこちらで出しました。


 「人間って、両論示されるとどっちを選んでいいか分からなくなったり、選択肢が多いと迷ったりするよね。だから俺はあえて断言するようにしてる」とか、

「協調性低めの奴のほうが、特に男性は社会的な成功を収めやすいって心理学の研究結果があるらしいけど、勘違いして好き勝手振る舞えばいいとか思う奴もいるかも知れないから、『協調性は大事だよ』って言っといた」とかなら、

「まあ、分かるよ」となります。少なくとも私はなります。

 インターネットには、こんな人がたくさんいますね。大抵は前提が隠されていて、断言するところと、心理学の研究結果を無視して「協調性は大事だよ」と言うところしか見えないわけですが🌿

 (ちなみにこの心理学の研究結果については、周りに合わせるより自分軸を持て、が正確な言い方ではないかなと考えています。周りの正解が自分の正解とは限らないし、周りが問題あると自分も問題あるようになってしまうので)

 で、これを推し進めて「とにかく、これに従えばいい。他は潰す」だと、一気にヤバさが出てくるわけです。

 特に、実際に物理的に潰すだけの力を持っていて実行するとなると、もうどんなに一理ある事を言っていても悪でしかない。

 今日(こんにち)現実世界では多様性が叫ばれ、同時にその難しさも語られるようになりました。

 とはいえ、人間は極端に同質性の高すぎる集団にも耐えられない。あるいは、そうした集団は何かあったときに全滅しやすいのが分かっていると思います。

 また、現実の世界は複雑で、問題解決のためには、ある程度ならその複雑さを理解し、また耐えなくてはなりません。

 たとえば人を殺すのは悪いことですが、原理主義的に扱えば正当防衛も緊急避難も成り立ちません。(まあ日本ではあまり正当防衛を積極的に認めないらしく、過剰防衛となるケースが多いようですが)

 なのでたとえ一理あっても、極論を言ってしかも実行する力のある奴は悪として扱われやすいのです。

 フィクション、作り事の世界でも、現実の人間の好みや欲求はある程度は反映されるし、全くしなければ好かれるフィクションにはならないのです。

 現実に美男美女は好かれるから、フィクションでも基本的には好かれます。(キャラクター付けをどうするかにもよりますが)

 だから現実にいたらヤバい奴を出せば悪役となります。

 と、個人的な悪役の作り方でした。

 参考になれば幸いです。でなければ忘れてください。

 ここまで読んでくださって、ありがとうございました。

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片桐 秋
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