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復讐の女神ネフィアル 第4作目 『孤島の怨霊』 第3話

「分かってるさ、これでもお前とはそれなりには長い付き合いだ」
 リーシアンはあっさりそう言った。
「しかしこいつはな、単なる威力や便利さだけの問題でもねえんだ」
「その話も前に聞いた」
 アルトゥールは、今度はクレアの杖にも《強化》の《神技》を使う。
「後にしてくれ。それどころじゃない」
 それでもリーシアンは止めなかった。
「聞けよ、高みを目指す魂は確かに高みへと上(のぼ)ったが、高みにたどり着けない人間を切り捨てた。それは何も《法の国》が末期になってからじゃない。その芽はすでに前期の時点であったんだ」

 怨霊が帯状の黒煙となり、彼らに襲い掛かる。クレアの杖の先端の水晶から黄色い光が迸(ほとばし)った。稲妻と真昼の陽光の明るさと鋭さを持つ。真横に一直線に走り、怨霊は二手に分断された。
「それで? 僕が代わりに謝罪でもすればこいつらが大人しくなるんだろうか」
 ここで紅く光るメイスを一閃した。それから続けて、
「北の地の呪術師とこの怨霊は関係ないはずだ」
「そうとばかりも言えない」
 リーシアンには何か考えがあるのか、やけに確信有りげである。むろん、ただ《法の国》の政策が原因であるというその一点のみを言うのではあるまい。
 怨霊は再び一体化しようとしたが、果たせない。
「分断には成功した。このまま、よりいっそう細断すれば勝てる」

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