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『続テルマエ・ロマエ』を読んで



 ジャンププラスにて、連載が始まりましたね。

 主人公ルシウスの態度を「時代の変化についていけない老害みたいだ」とする感想をTwitterXで見ました。

 その考えも分からなくはありません。

 正直なところ「少しだけでも、依頼主に対して妥協や交渉はできないのかな?」とは思いました。息子にも心配されています。

 奥さんがいなくなっていて、それにも驚きましたが。ルシウスが頑固になったのはそれも理由の一つなのではないかと思えます。

 ただ、新しい流行に付いていけば、それで良いわけではないと思うのですよね。

 ルシウスは例によって日本に転移し、日本の伝統的な温泉からアイデアを学んで古代ローマで再現します。

 体の弱った皇帝にもいたく気に入られ、ルシウスの名声も復活し、仕事は大成功となるのです。

 日本に転移した際に見た温泉も、いかにも鄙(ひな)びた温泉で、最新のスーパー銭湯などではありません。

 ルシウスが単なる守旧派でないのは、こうして他の国の文化をすぐに柔軟に受け入れて、再現できる事から分かると思います。

 この辺りの、異文化を柔軟に受け入れる姿勢は、風呂好きの文化と並んで、日本と古代ローマの共通点だと思います。

 つまりルシウスは、古代ローマ的な受容と改良の精神を体現した主人公として描かれていると思うのですよ。

 この受容と改良が出来るか否かが重要であって、最新流行に付いていく、それも盲目的に付いていくのは、本当の意味での柔軟性ではない気がします。
 
 結局それだけでは「流行ってるから合わせなくてはならない」と思い込んでいるだけではないでしょうか?

 ま、繰り返しになりますが、依頼主とはもう少し交渉するか、ある程度の妥協したほうがいいのではとは、私も思いましたがね。

 ただ、流行が去って「やはり質実剛健なローマらしさが良いな」となった時どうなるのか?

 あるいは流行が去らなくても、今の風潮が嫌いな顧客はどうなるのか?

 そうなると、下手に流行に合わせると『質実剛健な、しかし斬新な改良をしたローマ風呂を造ってきた技師』としてのルシウスの評判はむしろ落ちてしまうのかも知れません。

 古代のことだから、現代日本のように数年か下手すると数ヶ月で流行が移り変わりはしないのでしょうが。

 古代ローマの基準で言えば、ルシウスはとうに引退か、お亡くなりになっていてもおかしくない歳です。

 私はルシウスが単なる老害とは思えないですね。

 と、私はこのように考えました。皆さんはいかがですか?

 ここまで読んでくださってありがとうございました。また次回の記事もよろしくお願いします。

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