【サスペンス小説】その男はサイコパス 第12話
水樹はそれでも少しためらっていた。3分か4分が過ぎた。水樹は、
「分かった。僕がやるよ」
とだけ言った。
「なら、さっそく謝罪文だ。形式的なのを書くからチェックだけしてくれ」
実際には、謝罪文には手本となるような定型はあっても、かっちりと決まった形式はない。それは儀礼的なビジネスメールなどと似たようなものだ。
知也は仕事柄、儀礼的な書面の謝罪文も見てきた。行政書士の仕事と同じ、特定の書式に従って書きさえすれば良いものだった。内心よりも形式。それが大事になる場面