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復讐の女神ネフィアル【裁きには代償が必要だ】

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ただいま連載中。プロモーションムービーはこちらです。 https://youtu.be/m5nsuCQo1l8 主人公アルトゥールが仕えるネフィアル女神は、かつては正義とされて…
霧深い森を彷徨(さまよ)うかのような奥深いハイダークファンタジーです。 1ページあたりは2,000…
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2022年1月の記事一覧

【ハイファンタジー小説】復讐の女神ネフィアル 第6作目『ため息の響く丘』 第4話

【ハイファンタジー小説】復讐の女神ネフィアル 第6作目『ため息の響く丘』 第4話

 天幕の向こう側に逃げた長の様子は、アルトゥールにもグランシアにも見えはしないが、長はその時《風の魔術師》を呼んでいた。グランシアの《銀光の矢》は長の背に刺さらずに消えた。長のマントにはそれだけの力がある。

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【ハイファンタジー小説】復讐の女神ネフィアル 第6作目『ため息の響く丘』 第3話

【ハイファンタジー小説】復讐の女神ネフィアル 第6作目『ため息の響く丘』 第3話

 黒葉は丘の頂上で栽培されていた。蔓(つる)草であるのに支えもなく真っ直ぐ上に伸びている。蔓(つる)にびっしりと黒い小さな葉が茂る。蔓の色は、ごく普通の草と同じように緑だ。

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【ハイファンタジー小説】復讐の女神ネフィアル 第6作目『ため息の響く丘』 第2話

【ハイファンタジー小説】復讐の女神ネフィアル 第6作目『ため息の響く丘』 第2話

「なんて美しいところなの」

 グランシアは感嘆を漏(も)らした。

「そうだ、きれいな場所だな。怪しい薬のような物がここで作られているなんて信じられないくらいだね」

 アルトゥールは、紫水晶の色の瞳で、辺りを悠然と見渡して続けた。

「この丘の頂上に、例の黒葉糖が作られている場所がある。情報の出所は確かだよ。ロージェのいる《裏通りの店》だ」

「それなら確かなんでしょうね」

 グランシアはロ

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【ハイファンタジー小説】復讐の女神ネフィアル 第6作目『ため息の響く丘』 第1話

【ハイファンタジー小説】復讐の女神ネフィアル 第6作目『ため息の響く丘』 第1話

 誰にも伝わらないことがある。誰にも伝わらなければそのままにしておけ。その人は、きっと言っても分かりはしない。いや、分かりたくはないのだ。

 君はこれからあらゆる人々を傷付ける。そしてあらゆる人々を慰め、癒やすだろう。その二つは同時に進行する。どちらか片方だけにすることは出来ない。それはどちらも等しく君自身の長所から、為せることを為した結果から現れる。君が誰かを傷付けないなら、君は誰をも助けない

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