重版記念インタビュー②宮田ナノさん
手の届く範囲の日常だけを見つめられるようにと考えていました。
__重版決定おめでとうございます!
重版の連絡がきた時の率直な感想を教えてください。
お電話でお伝えいただいて、びっくりして大きな声が出ました。
重版しそうですよとすこし前から伺ってはいたものの、この漫画は大きなドラマも事件もなくただただ普遍的な日常が続いていくだけのささやかなものなので(私自身はそういう漫画が好きなのですが)果たして本当に重版に届くほど広がっていってくれるのだろうかと心許ない気持ちでいました。
展開してくださった書店さんや読者の方々のおかげだなと、胸がいっぱいになったのを覚えています。
__発売後、色々な感想が届いていますが、読者さんや周囲の方の反応はどうですか?また出版後の心境を教えてください。
あたたかい感想が多く、本当にありがたいです。
夏子の生活ぶりに共感したり感心したり、友達のような親しい目線で読んでくださっている方が多い印象です。夏子と友達になりたい、自分を見ているようだという感想もうれしく拝見しているのですが、「娘にしたい」との感想を目にした時はうれしいを通り越して照れてしまいました。
呼吸がしやすくなった気がする、忘れかけていた記憶を思い出した などのメッセージをいただくこともあり、想像以上にいろんな読み方をしていただけているなと感じます。
出版から半年以上の時間が経ち、私も以前より客観的な目線でこの本を読めるようになってきたのですが、開くたびに見方や感じ方が変わるので何度も読めてお得だなあとほくほくしています。
__改めて、今回の作品はどんな方に、どんな風に読んで頂きたいですか?
一気読みも単話読みもできる本なのでどなたにも気楽に、気分にあった読み方をしてほしいです。
スリルのある映画や本の箸休めにしてもらったり、何もしたくない休日のおともにしてもらったり。ちょっとした待ち時間に少しずつ読み進めていただくのもいいかもしれません。
日々忙しく過ごされている方の気持ちを少しでもやわらかくできるものであれたらいいなと思っています。
__今回の作品を描く上で心がけたり、こだわった所はどんな所ですか?
「手元の生活」にピントを合わせたかったので、SNSを想起させるものをなるべく描かないこと、ネットスラングを使わないことを心がけていました。
SNSを眺めているとどうしても遠くの出来事ばかりに気が向いてしまい
(…と担当さんに言葉にしていただいて私も初めてそれを自覚しました)
心の所在があやふやになってしまうことがよくあります。
この本を読んでいる間だけは遠い世界のことを忘れ、手の届く範囲の日常だけを見つめられるようにと考えていました。
__読者の方が気づいていなさそうな、作品のここ見てポイントなどがあれば教えてください。
キャラクターの生活や人となりを少しでもリアルに見せたいという意図で工夫したところがちょこちょこあるので、ぜひ見つけていただけたら…。
① セレブな友人がつけているネックレスが
ハイブランドっぽいデザインである
② お泊まりにきたカヨちゃんのパジャマがぶかぶかである
(夏子が貸したため)
③夏子の家にカトラリー置きがひとつしかなく、
ゆきちゃんに譲っている
などなど…
また、気づいてくださった方もいると思うのですが、カバーを外した表紙もぜひ見ていただきたいです。
__夏子さんが一番好きな鍋料理と、それに関するプチエピソードが聞きたいです。
夏子も夏子の家族も、すき焼きに入っている白滝が好物です。
実家で鍋をすると「その肉ねらってたのに~」「夏子もっと肉食べな」と全員肉を気にするそぶりを見せつつ、水面下ではどれだけ白滝を多く食べるか・相手に食べさせないかという心理戦が行われています。
__今後の意気込みや目標を教えてください!
自分のペースを守りながら、長く楽しく描き続けていけたらと思っています。いつか活字のエッセイにも挑戦してみたいです。
__最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
『すてきな退屈日和』を手に取ってくださり本当にありがとうございます。お手紙やご感想、いつも楽しみに拝見してうれしさを噛み締めています。
どうか今後とも時々行きあうご近所さんのような感覚で、末長く夏子を見守っていただけましたら幸いです。また何かの形であたらしい夏子の生活を描けたらと思っておりますので、その時はぜひよろしくお願いいたします!
__ありがとうございました。
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