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【詩】岬馬

海を見おろす丘の背で
澄んだ瞳の鼻づらが
黙々と 草の若芽を喰んでいる
葉をむしり取る乾いた音が
根をちぎる湿った音が聞こえている

草は芽吹きを繰りかえし
馬の血となり肉となる
草食の 渇きに宿す螺旋の糸は
星から降り 海へと注ぐ
野生をつなぐ血の流れ
荒ぶる 発情に堰き止められて
たしかな 胎動を始めている

草は 滑らかに血に溶けて
ゆたかに溢れる乳となり
仔馬は しぶとい腱を得る

草も 馬も たくましい
人だけ ひ弱で やわらかい

©2024  Hiroshi Kasumi

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加澄ひろし|走る詩人
お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。