【詩】あれなぁに?
母親に 男の子が手をひかれ
まるい瞳を光らせて
「あれなぁに?」と問うている
手当たり次第
「あれなぁに?」を繰り返す
そのたび 若い母親は辛抱強く
「あれはね・・」と
まなざしの先を覗きこむ
思いのままに目をとめて
「あれなぁに?」と訊いた日々
いつも 隣りにあなたがいて
世界はふたりきりだった
「あれはね・・」と
あなたに教えるようになり
目をこらした ふたりの眺めは
とびらのむこうに 消えてしまった
ひとり 手をかざす樹のしたで
この星の得体をみつめている
©2024 Hiroshi Kasumi
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お読みいただき有難うございます。
よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。