【詩】秋蜻蛉
傾きかけた陽射しの隙間
二双のトンボが飛んでいる
繋いだ尾に かたい絆を確かめて
背負い 背負われ 重なりあい
衝動のワルツを踊っている
陽に透き通るガラスの翅を
風の吐息に游がせながら
遥か山なみに向かうもなく
群れ飛ぶ浮塵子をさぐるもなく
過ぎ行く影の 後ろ姿を追いかけて
命は もつれ合う螺旋の定め
出会い 魅かれ 重なりあって
ちいさな鼓動に刻まれていく
つなぎ止めた両の眼に
宿すあしたは 見えようもなく
あかく 浮かんだほとぼりに
かえらぬ道を急いでいる
©2024 Hiroshi Kasumi
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お読みいただき有難うございます。
よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。