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【詩】地動説①

そよ吹く風にさそわれて
夕べの空を見上げれば
あな 中秋の夜の墨
煌々と光る望月が
立ちどまる雲を照らしている

凛と耀やく満面に
冷たい笑みを あかく浮かべて
地軸の軋みを追っている

風は 真昼のほてりを鎮め
汗の名残りを運んでいく
今宵 茂みの虫たちが
合図の鈴音を打ち鳴らし
天地のとびらが開け放たれる

公転軌道の向こう岸
月夜の兎が身をひるがえす
銀河をわたる宇宙の風に
ガリレイの地図をひろげている

©2024  Hiroshi Kasumi

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加澄ひろし|走る詩人
お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。