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古柳幽
2024年8月14日 19:15
お盆に父の実家に帰った甥と迎え火をする叔父。 盆だからね、迎え火だよ。そのためにお前も帰ってきたんだろ。律儀だね、別に社会人になって一人暮らしする前はそんなに来なかったろ、盆はどこも混むからね。特に地方は。ここに来るまでも結構車居ただろう。だから俺はこの時期遠出しないんだ。実家住みの特権だね。毎年ちゃんとやってるけどね、兄さんはなかなか帰ってこないよな、ま、気持ちは分かるよ。俺だって東京出てた
2024年8月10日 21:16
いつも怪我をしている叔父に、原因を尋ねる甥。 夢でさあ……うん?そう、夢の話。 なんでいきなりって、関係あるからに決まってるだろ。お前が聞いてきたんじゃない、その痣と眼帯どうしたんですかって、ずけずけと……。いや、怒っちゃないよ。なんにも疚しいことなんかないし。聞かれたから答えてやろうと思って話してんのに遮るんだもん。……だから夢なんだよ、原因が。まあ、端的に言えばさ、こういう体質なんだよ
2024年8月9日 22:27
涼しげ怪異。 振りほどこうにもいつまでも触れてくるような熱気が全身にまとわりつく。逃げる余地のない汗が重力に負けて、項を、背中を伝う。用事があったとはいえ、丁度脳天を焼かれるような時間に外に出るものではなかったと心底後悔した。そもそも急ぎの用事ではない。それなら雨でもなんでも、少なくとも今日のように日差しの強くない日にすれば良かったと己の無計画さにうんざりする。 これ以上ブロック塀の続く道