「お手をふれてご覧ください」なアート展~ギャラリーエークワッド・点字にふれる
全盲の方や、見え方に困難を抱えるロービジョンの方はアートをどのように楽しんでいるのでしょう?
そんなテーマを体感できるアート展が、東陽町のギャラリーエークワッドで開催されています。
パラリンピックが開催されるタイミングで行ってきました。
見えている人にもうれしいユニバーサルデザイン
シャンプーのポンプの部分をさわると、ギザギザが付いていてどっちがシャンプーでどっちがリンスか見分けがつく。
メガネを外してお風呂に入ると、同じパッケージだと困る(特に使い慣れていない旅館の備品など)ので、近視の私もこの機能にお世話になっています。
メーカーはこの特許を公開してどのメーカーでも統一したパッケージがつくれるようにしたほか、ボディーソープも見分けられるように機能を進化させたそう。
さわって商品が見分けられる取り組みは、ジャムの瓶の底や、なんと「ゆかり」のパッケージに点字が印字されるなど、進化しているそうです!
さわって気付くのが、このアート展のコンセプト。
ほかの展覧会だと、手のマークに斜線が引かれている「お手をふれないでください」が多いですが、この展覧会では手のマークが「お手をふれてご覧ください」なので新鮮!
見る以外の感覚を刺激するアート
見えない、見えにくい方はふだん、どんなメディアにふれているのでしょうか?
さわるメディアならではの表現も
絵本は点訳版だけではありません。さわるから楽しいしかけを持つアートも展示されていました。
また、落語家が読んだ昔話の朗読も聞けました。
聴覚や触覚を刺激される展示です。
パラリンピック体験コーナー
パラリンピックだけにある種目もあります。例えばゴールボール。
ゴーグルをつけると、視界は真っ暗になることを体験できました。
ボールはバスケと同じ7号(私は練習用に6号を使っているので一回り大きいと感じました)。
中に鈴が入っていますがどちらかというと鈍い音。重さはバスケットボールの2倍あるそうです。
投げる役でない人が足音を立てて相手チームをかく乱する戦略など、音と気配だけだからできる競技の面白さも解説映像で分かりました。
点字名刺づくりに挑戦
次はいよいよ、点字名刺づくりコーナーです。
点字を打つのと読むのとでは違う変換表が必要なことを初めて知りました。
裏側から打つので、逆さバージョンを参照する必要があるそう。
見えない、見えにくい方はどのようにアートを楽しむのか
今回展示されている中で、最大スケールの作品が全盲の美術家・光島貴之さんがつくられた、東陽町周辺エリアの世界観を表現した作品です。
この作品も触って楽しむことができます。
起伏の立体表現、釘や木、ビーズのようなものなど変化に富む質感、色を付けただけのように見えるフィルムにもすべて立体感があって、触るために作られた作品であることが分かります。
点字や点字ブロックもおしゃれにデザインされていました。
そして、展示内でも解説されていたのですが、鮮やかな黄色は見えにくい人が色を識別するのに適した色。
街を歩くときの点字ブロックが黄色であるのにはとても意味があるそうです。
とは言え、点字ブロックの上に物が置かれてふさがれていたり、誰かが立っていたりすることもあるので万能ではない。
見えない方は音、におい、気配をたよりに歩いているそうなので、私たちのちょっとした声かけも役立つんじゃないかと思いました。