日記/2024/11/17/アンパンマンと闘いたい

定期的に自撮りをするようにしている。なにもアラサーの男性が己の顔面を見ながらうっとりするために撮るのではない。顔の変化を記録しているのだ。

ぼくは約半年前に顔のデザインを骨格から変更した。美容整形ではないが、世間一般的にはそう思われても仕方がないと思う。それくらいダイナミックな手術を受けた。とにかく腫れた。

それから数日に一度、腫れを確認するためにスマホで顔を撮るようになった。同性愛者向けのSNSで培った自撮りスキルをぶん回す。

夕方にタバコを吸った。久しぶりに吸った。無性に吸いたくなった。ぼくは普段からタバコを吸うわけではないんだけれど、数か月に一度のペースで無性にタバコを咥えたくなる。

3本ほど矢継ぎ早に吸った。少しだけ心地よい時間が訪れたのち、忘れる前にといつもの習慣で自撮りをした。しなければよかった。アンパンマンが撮れてしまった。なんだこれは。たすけて、ジャムおじさん。

ぼくは買ったばかりのタバコを引き出しの奥に押しやった。昔から快楽を追求するより自分の見た目が崩れることに少しばかり抵抗がある。お腹は少し出ているし、生え際だって怪しいというのに「肌」や「体調」といったランダムに変化するものには弱ってしまうのだ。

ため息をついた。引き出しにはまだ開封したばかりのタバコが吸ってほしそうにしている。すまない、ぼくはアンパンマンになるわけにはいかないんだ。正義を守ることはできなくても、自分のお肌くらいは守ってみせたい。