ここは裸体の回転寿司
白状する。私にはポルノを閲覧するためだけのアカウントがある。見る側の人間だから、もちろん自分のペニスを載せやしない。卑怯だと言われればそれまでのこと。自分は見るだけで、コンテンツを提供しようとはしない。卑しい人間だと思う。
そのポルノアカウントを見ていていると、最近胸の奥がムカムカとしてくることに気がついた。頭もどんよりしている。
湿気の多い曇天日和の中、やることもなく、かといってせっかく来たのだからという理由から、なかなか帰ることもできず、財布もさみしいから園内のスタバに入るわけにもいかず、都市公園のベンチでぼーっとしているときの気分に似ている。
最初は充実していた。世の中には驚くほどの変態さんがいる。とくにTwitterは顕著だ。おそらくnoteで綺麗な景色を見ることが日常の人からすればありえないような光景が広がっている。手首が肛門の奥まで入り、掻き回されている。
商業物のポルノでは得られない快楽がそこにはあった。急な告白で恐縮だけど、私も性癖が歪んでいる側の人間だ。他では得ることのできない充実感と共感がそこにはあった。
しかし、最近は違和感というか、不快感を得ることが増えた。なぜだろう、考えてみるとあまりにも大量の変態が、裸体が、ぼくの口の中に放り込まれているからだということに気づいた。そして最近の私はそれを望んでいない。さながら無限回転寿司状態なのだ。
最近のSNSは優秀なもので、私が好むコンテンツを山のように口の中に放り込んでくる。「これいいな」と思いいいねボタンを押してみる。それに似たコンテンツが、またぼくの口に放り投げられる。もう一度押してみる、ネタを放り込んでくる。まだ食べてる途中なのに。大将、そのネタ頼んでないよ。
気づくと、ぼくの口は処理が追いつかない寿司ネタで塞がれ、ぐったりとしている。その周りにハエが飛んでいる。目は焦点があっていない。大将はネタを握り続けている。まだ放り込むつもりでいるらしい。
ここは裸体の回転寿司、変態寿し。犠牲になるのは私だけでいい、その暖簾を見かけても、絶対にくぐってはいけない。私はもう、レーンから降りることにするから。
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