計算できる選手への挑戦
ワールドベースボールクラシックでの激闘はなかなかに熱かったですね。
アメリカ留学時の空気を思い出させてくれるヌートバー選手も魅力的でしたが、やっぱり大谷選手の安定ぶりはさすがで、それは送り出す側も安心でしかないよなと。
普段の飾らない姿も、ここぞという場面でのかっこよさも、そのどれもがどこまでも自然で、本当に絵になるなと感じる選手。
そんな大谷選手ですが、インタビューの中で「計算」という言葉をたくさん使うイメージがあります。
スポーツに限らず、どんなフィールドにおいても、ある程度のパフォーマンスが計算できる人材というのは強いです。
自分の中にある「わからない部分」を限りなく減らすことで、より正確なパフォーマンスのシミュレーションが成り立つので、「自分は大丈夫、わかっている」という最強状態でメンタルは安定するし、使う側としても一番信頼できる存在です。
さて、前置きが長くなりましたが、話はここからが本題となります。
昨シーズンまでを振り返ったとき、私は「チームで一番使い勝手がよく、一番使いづらい選手」と自己分析をしました。
技術と経験はあるので、怪我などによる急な離脱で後がないような状況下でのチームニーズには誰よりもフィットできるのが私の使い勝手のよさ。
一方で、自分ですら予測がつかないパフォーマンスの波、つまり計算が立たないことが私の使いづらさ。ただ、この計算外は良くも悪くもで、いい時はそれこそチームのピンチを救うこともあれば、悪い方に転がる日はチームを乱す要因にもなり得る。
そりゃ使いづらいでしかないし、私が監督やったら頭を抱えるなと。実際は自分ごとなので、もし監督だったらという想像以上に頭を抱えてきたのですが、そのおかげで「なぜ計算できないか」の言語化が少しできてきました。
まず計算外がいい方に転がる場合。これは以前から自覚していたのですが、劣勢な試合展開でチームとして機能していない状況ではミラクルを起こしがちですが、これは私が自己に集中するのが得意だからこそです。
良くも悪くも周りに流されることがないので、空気の循環があまりよくない時でも、どんだけミスっても最後に点さえ取ればヒーローじゃんくらいの気持ちでプレーできます。元々チームとして機能もしていないため、周りを乱してしまう心配もなくプレーできるということもポイントです。
そして逆にチームをとことん乱してしまうとき。これは単に私が外に集中を向けるのがド下手だからです。この点については少し深掘りしたいので、プライベートの話にあえて一旦逸れます。
つい最近の話ですが、とある友人に「めちゃくちゃ気を遣うところは遣うのに、全くといって気を遣えない一面もある」と言われました。
日本に帰国した頃から、特にパーソナリティの部分で自分の認識とまるで逆の評価を受けたり、最近ではそのギャップに自分で気付き、その事実が自分でも不思議でたまりませんでした。
そして、ふと気付いたことは(もしくはようやく認められた)私は全体像を把握するのは得意ですが、その全体像を構成するピースの一つ一つの詳細は見えていないことが多いということです。
見えてないものの具体例をあげると、例えばみんなが当たり前のように共通認識として持っている暗黙の了解。私からすると、「え、そんな決まりをいつどこで誰がアナウンスしたの?」となります。無視しているのではなく、本当に気付けていないのです。
そして、サッカーのおもしろいところは、こういう社会の中での現象がピッチ上にも反映されることです。(人間がやることなので、その人たちが普段生活する社会模様が反映されることは至極当然のことではあるのですが。)
全体をうまく把握したとしても、認識が周りと異なっているため、結果として間違った選択/行動をとってしまうのです。これが、私の「計算できない」一面の正体です。
要は、私はもっといろいろなことを知らなければならないという、これ以上にないくらいに単純な話です。
「計算」という言葉は完全に大谷選手の受け売りですが、今年の元旦からの私はノートに向き合い、ひたすらに言語化作業を繰り返してきました。
一つ一つを紐解いてけば、「計算できなかった」ことが「計算ができる」ことへの変換が可能です。
自分の理解を超えたところでのことは周りを頼って教えてもらうことで解決。
こんなレベルから理解していなかったのかと落胆する気持ちもなくはないですが、みんなにはこういう世界が見えているのかと、新しい発見続きの日々はとても刺激的です。
リーグパンフレットに書いた「一意奮闘」は、アスリートとして生きる覚悟。「現役である今やる必要があること」かを問い続け、論理的な取捨選択をすること。
そして、ようやくきちんと言語化できたのですが、「言語を使って、計算できる選手になる」こと。これが今シーズンの挑戦です。
みんなに見えてる世界と、宇宙人である私の世界が繋がると、どんな世界になるのだろう。
最後に。
今日の記事にある気付きの要因、自分の嫌な部分と向き合い、外に矢印を向けざるを得なくしてくれたきっかけに感謝。
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