無理なく楽しく同人誌!全いいとこどりの長編連載&投稿&発行スタイル紹介
こちらのお記事を書きながら、「長編の投稿法」について思い出したので、訊かれてもいないコラムを8000字超語ってみました。
■いいとこどりの連載&同人誌発行スタイルの紹介
◎孤独だからこそ長距離マラソンを続けられる工夫を
長編執筆!それは孤独との持久戦。
たとえば十万字書いたとして、表に一切出さず、完成品いきなりドンドンドドンパ!!アップできたらマジですごい。リスペクトですワ!
そこまでできる方は天性の作家お嬢様なので、以下見なくてOKです。
さて、わたくし含めたいていの方は完成までのモチベ維持に苦労すると思います。
↓の「モチベ維持」の章でも書いてるけど、長編執筆は潜水・マラソンのようなものなので、とにかく苦しい!
特にSNSが盛んなジャンルだと、自分ひとり、孤独な檻に閉じこもってカリカリカリカリカリカリ書いているのに、窓の外ではみんながキャッキャっと楽しそうにアップした作品を見せ合っているように見える……そんな状況もあります。
イラストや漫画だと作業通話が可能だけど、「ガチ」で小説を書くときは言語野を使うので、書きながらしゃべれませんね(※1)。圧倒的孤独。
(お絵かきは本当にすごい職人技術ですが、ここでは作業通話が可能かどうかだけ言及します)
作家とは、字書きとは、孤独の中で自分の中の文字を絞り出す作業にほかならない。ある程度突き詰めると、一生懸命やると、本当に孤独です。
作品の発表を重ねるということは、暗闇に向かってラケットを振り続け、帰ってくるかもわからないボールを打ち続ける作業なのです。
……ここでボールが返ってこず、心が折れる方も、残念ながらいます。
「一気に水面下で十万字書ける」は孤独に耐えられる孤独エリートの所業(※2)。
なろうによくある「いったん長編を完結させてから、毎日2,3000字ずつ投稿する方式」も、これですよね。執筆開始から完結するまで、公開しない。
…………すごい。
分かってるんです。理論上はそれがいいってわかってるんです。
でもできる人は一握り!!一握りですからェ!!!!
(これ、いわゆる「爆死」したら相当つらいと思っていてェ……でも確実に「完結品のみ世に出す」ことにはなりますよネ。「全部完結させられる」はなろうにおいてものすごい信頼を集めるそうです。きっと、ある程度手ごたえや自信のある作家さんのメソッドなのかもしれません)
エリート戦士でない我々は、ちょっとずつ水面に顔を出し、おしゃべりをしては潜る……という方式で、窒息を防ぐしかありまへん。配られたカードで戦うしかありまへん。
具体的には、やはり連作短編をつなげて長編にする手法がおすすめです!
短編を書くのと同じ要領で個々の話を書けるし、一気に読んだら長編になる。おいしいとこどりですワ~!
しかも、できた短編からアップできる。これがアツい!
他者の反応ありきはおすすめしませんが、自分のために書いた作品が、たまたま他の誰かにも刺さり、「わかる~好き最高!」という反応が来たら、素直にうれしい!モチベになります!
読むほうも、いきなり10万字ドドンパ!よりも、1,2万字ずつ、「ちょっと読んでみようかな」→「あれの続編が!」→「わぁいまた続編が!」とちょっとずつ読んだ方が、「読んでみようかな」のハードルが低い状態で、分割して読めます。(連載をリアタイで追う→完結後に通して読む、という楽しみも!)
やはり小説は読むのにコストがかかるので、はじめましての状態でいきなり長編を読んでくれる方は少数派なんですよネ。エンタメギャンブラー?
短いエンタメに慣れた若者も、忙しく疲れた社会人も、「インスタントな快楽」を求めているのが現状。「単話で読める」は入口として強いんです!
あと、一話ごとに区切りがついているので、いつやめても問題ないというか、引き際がスムーズというか……やっぱり、未来って何があるかわからなくて、長編を完結させられる保証ってないじゃないですか。仕方ない!こればかりは趣味なので仕方ないです!
同じ期間で筆をおくにしても、「長編を目指してたけど中断しちゃいました」より「短編をいくつか投稿して満足しました」の方が自分にも相手にも心証がいいですネ。
長編の構想を言わないでおくと、「もとから長編を目指した連作短編」なのか、「思いつくままに無計画で書き、偶然つながった連作短編」と見分けがつきません。
同一世界線の連作短編は、無理のない同人活動をしながら、偶然それが例外的に長続きした場合一冊の同人誌にまとめられるので、とってもオススメな方法なんです!
◎投稿プラットフォームの違い
これだけだと情報が荒いので、もっと具体的に語ります。
※なろうカクヨムアルファポリスでガンガン書籍化を狙いたい場合……「毎日数千字ずつ投稿」がよくいわれていますが、専門外につき調べてみてください。
ここでの想定は、すでにお友達がいるまったり投稿の趣味のネット小説や、pixivメインのカップリング界隈です。(界隈ごとに違うのでしょうけれど、あくまで一例として)
たとえば「なろう」だと、検索結果は作品単位。百話投稿しても、同じ作品なら検索結果に出てくるのは1件のみですネ。ところがお支部は、同一シリーズでも検索結果には100件表示されます。
お支部のジャンルタグは「公共の場所」という意識が強いので、検索結果を一人で埋めてしまう少量毎日投稿は原則おすすめしません。ある程度まとめてから投稿するのが一般的な慣習です。(界隈によりますが)
もちろん連載NGというわけではありません!
たとえば十万字の作品だったら、一章ずつとか二万字ずつとか、ある程度完成度が高い感じにまとめてあれば全然OKですヨ!よくあるやり方です!
というわけで切り抜き的な進捗公開や、あとで加筆修正をバンバンするかもしれない初稿とかの、気軽な連載箇所は別のサイトがおすすめ!
ぷらいべったー、ポイピクが強いですネ。
お支部がジャンルやタグ検索メインの「完成作品投稿プラットフォーム」のような場所だとすると、この二つは気軽な作業進捗やらくがきなど、個人的なブログのような意識で使えるのが魅力。(主観です)
ポイピクとぷらいべったーは、どちらも絵文字での反応機能があります。
絵文字の反応、気軽でいいですよネ!
従来の「いいと思ったときの行動」が①ブクマやふぁぼりつ②コメントや感想の二段階だったのですが、ちょうどのその中間に「めちゃくちゃ絵文字を送る」ができて、ちょうどよく需要にマッチしたサービスの供給がでました!ワイワイカーニバル。
絵文字の種類が多いしタグ検索もあるので、個人的にはポイピクの方が好きです。
ぷらいべったーは公開範囲を絞れる、カテゴリ分けやブクマ機能がある、と高機能なので、隠したい方や使いこなしたい人におすすめ!
また、おツイッター画像投稿は、おツイッターが盛んなジャンルだと見てもらいやすいみたいですネ。読み始める気軽さはピカイチ!
ただ長文は読みづらいので、最初だけおツイッター画像投稿で、続きはポイピクのリンク……というハイブリッド型が、個人的には好みです。両方載せて読む人が選べるようにしている方も見たことがあります。
また、連載版は「初稿」「速報」として、お支部や同人誌にまとめる際に加筆修正するのもアリアリですネ!お友達に相談したり、反応を見て需要に応えたシーンやBIGな伏線も追加していいです。イヤなら初稿段階を見なければいいので。
◎モチベを維持しつつ同人誌発行まで走り切る
やっと、本題ですワ!
誰にも訊かれてないけど、長編執筆&投稿について同人&長編一年生の方向けに、こういうやり方もあるよ!と具体的に解説してみます。
想定は十万字の同人誌で、連作短編を書きつつはじめからオフ本発行を目指します。
エンタメ長編講座で頒布中のオジョ式・プロット術にのっとり、こんな話だとします。
執筆開始
↓
あんまり高頻度だとかまってちゃんですが、1ツイート以内に収まるのであれば別に邪魔にはなりません。イヤなら見なければいいし。
(個人的には、超楽しみでGET確定な作品は進捗やサンプルをあまり見ません。でも(商業作品とかで)「最初は買うつもりがなかったけど、サンプルがきっかけで買った」はよくあります)
意外と「進捗」は、あっていい。
ず~~っとSNSに浮上してないと、別ジャンルに行っちゃったか、原稿中かどうか区別できないんですよネ。別にそれでもいいとは思いますが……。
ただ単純接触効果もあるし、進捗は広報の一部なんです!おCMと、日々のオヤツ的な萌え萌え供給にもなるんです!
切り抜き進捗が魅力的だと、本編も読みたくなりますヨ!
※切り抜きは「軽い」投稿なので、あまり反応は期待しないようにしましょう。
↓
執筆を重ね、完成のめどがついたら
画像12枚以下?(てきとう)SSのようにひといきに読める短さならおツイッターに画像投稿でもOK。気軽にテキストとして読んでほしいものは、ポイピクやぷらいべったー。長くて「作品」然としているものはpixivなイメージ。(主観)
あとは、本当に界隈にもよるので、どの投稿スタイルが好きか・見てもらいやすいかで決めてOKです。ポイピク・べったー連載の場合、最後にはpixivに投稿するイメージ。
ポイントは、ゆくゆくは長編にするつもりで頭から書いた場合、1話目を書き終わってすぐに1話目を公開しないこと!(してもいいけど)
なんでしょう……これだとストックがなく、あまりにもカツカツなので、余裕がなくなっちゃうんです。
あと、書き終わった直後はいちばん思い入れが激しくて、いちばん反応や感想にガツガツしてしまう。完成後、時間をおいてからアップした方が、精神は安定する……というのが持論です。
また、「完成させられるかどうかわからないのに見切り発車」の場合も、エターになる可能性が高くなってしまいます。
これを防ぐには、「完結のめどが立つまで書いてから公開」です。
一握りの方しかできない「長編完結してから公開」ではありません。「後半を執筆しながら、完結のめどが立ったら公開」です。
つまり上記全5話のプロット例では、まず自分で2,3話まで書いて、「ヨシ!半分超えたし最後まで書けるね」が確信できたら、1話を公開するのです。
書き終わってから時間をおいて推敲する時間もある。ストックがあるので、更新タイミングを冷静に見極められる。
たとえば予測できないタイミングで界隈が大盛り上がりの祭りじゃあ~!になったら、ストック分をアップして新規読者獲得……みたいなことができるカモ。(趣味ならそこまでやらなくていいです)
人によるだろうけど、半分まではなんとか書けるのです。きつくなってくるのが後半!やはり長編は持久戦。精神の削り合い。
そんなときに前半を単話として公開して、うれしい反応がきたら……ガソリンドカドカドドンパですワ~!(※他者ありきでは書かない)
また、前半の反応を参考に、展開やシーンの軌道修正をすることも可能なので、ちょこっと柔軟。
ただこのやり方、一つ落とし穴があって……。
思ったより反応が来ないと、確実にモチベは減ります。諸刃の剣。(※他者ありきでは書かない)
基本的には、投稿数を重ねるほど反応は減っていきます。最初と最後(完結時)が最も見られるタイミング。その中間の、2,3……は基本的には反応はどんどん減っていくものです。
十万字の場合、1万字を10回アップがいいのか、2.5万字を4回アップがいいのか……うう~ん、誰かに実験してほしいですネ。
人と界隈によるだろうけど、小刻みスタイルのなろうとは真逆で、わたくしはたくさんドカッとまとめる派です。(高頻度より低頻度のほうが、反応してくれる側にとって新鮮味が減りにくく、負担も少ないかなあと……)
まあそこは、どれだけ書くかとか、界隈の空気やスピード感、お話の区切りもありますけどネ!
もし反応が来なかったら、確率に頼らず自分の力で確実に0を1にするのがいいです。お友達と原稿を読み合う協定を結ぶか、感想屋さんにGOですネ。これもモチベ維持術です!
後半を全部書いたらルート分岐!
↓↓
【Aルート】全部ウェブ公開(→同人誌)
【Bルート】書下ろし後半は同人誌で!
ABどちらにせよ、作家買い確定ブランドを確立したわけではないなら、作風や魅力を知ってもらうため、最低でも4,5割はウェブ公開するのがオススメです!
以下、過去記事で語っているのでセルフ引用です。
再録と書き下ろしについても語っています。
【A】ほぼほぼウェブ公開している再録本スタイル
【B】4,5割ウェブ公開してあとは同人誌の、書き下ろし多めスタイル
こちらについて、「どちらがいいか」はわかりません。
新規読者獲得のために、最初はAで「長編完結まで書ける作家だよ」を見せて、ファンができたらBの書下ろし主体にしてもいいと思うけれど……安易に断言はできません。というか、どちらも素敵!最高!ですからネ。
わたくし、意識してそういうムーブをしていたわけではありませんが、他の自由時間がほぼないほど小説をガンガン書いていたころは、なりゆきでA→Bな感じでした。
母数1ですが、「再録本」と「書下ろし本」で出る部数は、書下ろし本の方が多いけど、でもそんなにそんなに大きくは変わりませんでした。
(※再録本にもまとまった文字数の書下ろしおまけを用意したので、「完全再録」は未経験です)
■おまとめ~大変だからこそ計画的・戦略的に~
10万字、20万字の長編は、も~~とにかく完結させるまで大ッ変なんです!単純にかかる時間がエッグいんです!完結までもっていける超スーパーGTエリートZ戦士改は少数派なんです!!!!
ド大変だからこそ、無理なく続けられるように、きちんとストラテジーを使う必要があります。
いろんな作家、いろんな界隈があるけれど、わたくしの示す一例はこんな感じでした。
あくまで書きやすい一例なので、各自の環境や性格や向き不向きや理想やおゴールに向けて、変えてみてネ!
★話の区切りを考える
今回は、連作短編の書き方として、「基本単話で読めるように」と区切りのいいところで終わる方法の紹介でした。
(実はサンプルプロットの「最終話前半」は気になるところで終わる設計ですが)
お話をどこで切るかについて、くらの先生のお記事紹介再びです。
数千字高頻度投稿が主体の一次創作畑では「あえて区切りのよくないところで切る」テクニックがあるんですネ!知らなかった~!
……たしかに、自作でもほかの方の作品でも、続きを匂わせて終わったときや、「これからえちえちする!」という瞬間に終わる作品は、「続きをください!!」という熱烈で短めのリアクションが多かったですネ。うんまあ……むべなるかな。誰だってそーするおれもそーする。
(もっとも感想が懇願一色に染まりがちで、「長文通読感想」みたいなのは完結させたときにくるイメージですが)
常にその場所、その時期、そのターゲットによって有効打は異なるので、ぜひご自分の環境とおゴールに向けて、いろいろ、模索と挑戦を楽しんでくださ~~い!!
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