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大人になった僕がウルトラマンを観てきた

僕の趣味は当てもなく夜の街を練り歩くこと。
 先日歌舞伎町を例によって散歩していると、トーホーシネマズ前にでかでかとライトアップされたシン・ウルトラマンの広告ポスターを見かけました。
 Twitterでオタクたちが庵野秀明解釈のウルトラマンあーだこーだと盛り上がっているのを横目で見ていたこともあり、視聴を決定。
 昨夜さっそく視聴しに行ってきました。

 僕の両親はいわゆるオタク嫌いの人たちで、小さい頃は一部のアニメ・漫画・ゲームを禁止されてきました。そんな娯楽の少ない環境に身を置いていれば特撮シリーズに惹かれてしまうのは必然で、仮面ライダーやウルトラシリーズをみて子供の長い1日を過ごしていました。
 中でも初代ウルトラマンの姿は強く記憶に焼き付いていており、特にウーの登場する「まぼろしの雪山」や「人間標本5・6」、最終回の「さらばウルトラマン」は子供ながらに強いショックを受けたものです。
 あの頃は空想と現実の境界が曖昧だったので、弱きを助けて強きを挫くウルトラマンの姿には強く憧れ、ヒーローごっこに勤しんでいました。
 そんなウルトラマンに強い思い入れのある僕が劇場に足を運んで映画を見た直後の感想は「原作愛の強い監督によって作られた、対象年齢を大人へシフトさせた完璧な作品だった」というもの。ウルトラマン映画としては100点といっても遜色がないでしょう。
 ただ、エヴァに見られるような庵野監督らしいじめじめした部分が少ないので、それを期待して足を運んだ人には物足りないかもしれません。
 物語は、突如現れた怪獣(ここで登場する怪獣は全てウルトラQ時代の怪獣である)と人類の交戦をわずか数分でまとめ、ネロンガと交戦をしている現在の禍特対のシーンから始まります。
 ネロンガに対して苦戦する禍特対、そこにウルトラマンがやってきて懐かしのBGMをバックにド派手に戦いだす。ここのシーンのスペシウム光線は非常に綺麗でとにかく脱帽でした。
 さて、その後も怪獣と戦う禍特対とウルトラマンですが、中盤になると話の主題は異星人との関係についての話になっていきます。
 今作と原作のウルトラマンとの違いを語るとするならば、ここらへんの話になってくるのは必然なことでしょう。というのも今作のウルトラマンでは政治が強く関わってくるからです。作中の政治家は怪獣退治に速攻で核兵器の使用を持ち掛けてきたり(これは原作でもあった気がする)、異星人との不平等条約に勝手に調印したり、異星人と密約を交わしたりと人間の浅ましいところをこれでもかというくらい見せつけてきます。他にもアメリカなどの諸外国も異星のテクノロジーを狙って動いていたりと、一筋縄ではいかない人間社会をうまく作中に落とし込んでいます。ここら辺の政治と現場のもどかしい軋轢描写があることでファンタジー色の強い原作と違って今作が現実味が強い作品に仕上がる結果になったんだと思います。
 ところで、作中では宇宙人の間でもいくつか条約のようなものがあることがほのめかされているんですが、ここら辺はメン・イン・ブラックをはじめとした宇宙SF映画とかの影響を受けていたりするのかなと思いました。
 あと物語の終盤でキュゥべえのシルエットが入ったマグカップが登場したの、なんだったんですかね?

 ウルトラマンといえば最後の戦いが印象的です。
 地球の守り神とまで言えるウルトラマンが敗れ、絶望。しかし、人類が生み出した兵器がゼットンという絶望を打ち破る。
 ここを描かなければウルトラマンの映画とは言えないだろうと不安に思いながら劇場に向かった僕でしたが、劇場から出てくるときにはにこにこ笑顔に。
 ああいう風にリメイクしてくれるとは考えてもみませんでした。
 まさか原作ゼットンの出鱈目火力をそのまま持ってくるとは……。
 そんなこんなで懐かしさと目新しさを存分に楽しんだ僕は満足して帰宅。
 それにしてもリメイクされたザラブ星人やメフィラス星人の格好良さは異常……。

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