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【エッセイ】なんで今まで気づかなかったのか
今年の夏。お手伝いをしているボランティア団体が図書館フォーラムを開催する。500人が入るホールを借りることになったのだが、そのホールを予約する役目を仰せつかった。
さて、ホールを予約することには簡単だけれど、貸出設備一覧表には、マイク1本からスポットライトや電源、空調、屏風など様々なものが並んでいて一体何を借りて良いか分からない。
予算内に収まるのだろうか。
ホールに電話をかけた。
「何を借りたら良いのか分からないんです。予算が組めないので、相談してに行って良いですか?」
「いいですよー いつでもお越しください。」
感じの良い人が電話口でそう言ってくれた。
そして、先日ホールの事務室を訪れた。
「すみませーん」
アクリル板越しに机に座っている人に声をかけた。どの設備を借りたら良いのか分からないので、教えてほしいと伝えた。
「行事の詳細が分かりませんし、舞台の専門科でないと正確なことはお答えできません」
と、やんわりとだが、立ち去ってくれてと言わんばかりに断られた。
イヤイヤイヤ、いつでも来て良いって言ってたじゃないかぁ
「でも! だいたいで、良いんです。3万かかるのか5万かかるのかが知りたいだけでなんです」
事務所内の人たちがやっかいな奴が来たな、という感じで私の存在を確認しているのが分かる。
しかし、なんとかアドバイスを受けたい一心でアクリル板越しに担当の人と対峙し続けた。
アクリル板って、ほんとやっかいだ。
ちゃんと聞こえないから、大きな声になるし、小窓から声を聞きる為に中腰になって、態度の悪いヤカラみたいになる。
別の人が誰かに電話している。
通報されるのか?
いやそこまでじゃないよね。
電話をしていた人が、対応してくれていた人にそっと耳打ちした。
すると、
「今から舞台担当が対応してくれるとのことですので、ご案内します。」
と言ってくれた。
舞台担当の人が待機している事務所が別の場所にあるらしく、そこへ行くことになった。
「なんか、急にすみません・・・・」
恥ずかしくなって謝った。
担当の人も、
「いやいや、雨の中をすみませんね。」
長い廊下を2人で歩きながら、会話をした。アクリル板を取っ払った私たちは穏やかになれた。
「こちらです。」
私は事務所といういか、小部屋に案内された。
そこには同じTシャツを着た人達が数名待っていた。
どうも業者さんぽい。
椅子を用意してくれ、メモを取りながら私の話をふんふんと聞いてくれる。
まるで、お医者さんと患者さんみたいだ。
話を聞いてもらっていると、
長い髪にパーマをかけた男性や、職人っぽい50代くらの男性が集まってきた。
気づいたら、4,5人が「マイクが6本あれば、できるんじゃない?」
「ぎり、できるよ」と「大丈夫だな」とか真剣に考えてくれた。
みんなやさしぃ・・・
だいたいの金額を教えてもらい、必要な設備もなんとなく分かった。
最後にもう一度事務所にいくと、先ほど対応してくれた人が
「大丈夫でしたか?」
と聞いてくれた。
やさしい人だった。
そうか、みんな優しいんだな
ホールの人達だけじゃない。
友達も世間も職場の人たちも家族もみーんなやさしい。
やさしくしてもらった思い出が、そういえば、と次々によみがえってきた。
先日も作家さんのイベントをお誘いすると友人たちは
「参加するよ!」
と即答してくれたし、
職場の人たちも私がミスをやらかしても
「そういうこともあるよ」
と咎めないでいてれる。
家族はいつも話を聞いてくれる。
昨日、市民センターに行ったら、そこの人もすごく丁寧に対応してくれた。
人ってやさしいんだなぁ
特に困っている時に。
そんなことに何で今まで気づかなかったのだろうか。
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