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【海のナンジャラホイ-47】復活の新学期

復活の新学期

コロナの日々を通り抜けて

5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法での位置付けが2類から5類に移行します。私たち東北大学農学部(大学)と農学研究科(大学院)でも、昨年度まではオンライン授業が主体でしたが、いよいよ新年度からは対面授業が中心になりました。教員側にとって、オンライン授業では、学生の反応も含めた教室の空気感が全然伝わってこないために、いつも空虚な感じがつきまといました。オンデマンド授業では、自分の講義を録画して共有サイトにアップロードするわけで、ノートパソコンを唯一の聴衆として、1時間以上話し続ける忍耐を要求されました。疲れている時や寝不足の時の講義録画では、話しながら眠くなって意識が飛んでしまい、1時間以上話した後で、最初からTake 2 とか Take 3 とかの撮り直しをしなければならないことも何度かありました。 

新年度に4年生になった学生たちは、入学以来まともな学生生活ができなかったと辛い日々を語ります。イベントもサークル活動もなくて、学生同士の交流の機会もほとんど失われて、各々が孤立しがちだったのですね。4年生になって、研究室に配属になって、ようやく仲間たちと交わって大学生らしい日々を過ごすことができそうだと、ちょっと嬉しそうです。

復活に向けて

この4月からの対面授業は、私にとっても本当に久々で、初回の授業はなんだか緊張してしまいました。それに、コロナ前と違ってほとんどの学生が未だにマスクを着用しています。髪型と目の周りだけで学生を判別するのは、どうにも難しい。髪型やら眉毛やらによほどの特徴がある学生以外は、なかなか名前を覚えることができません。それでも、学生たちの方は私の姿形を認識しているので、キャンパス内で不意に挨拶されることがあるのです。はて、どの講義に出ている誰だろう? さっぱりわからないのは、やはり悲しいです。

私たちの研究室は、フィールドでの調査を基本としているのですが、昨年度は三密制限があったために野外調査活動も種々の制約を受けて、出かける人数や頻度を抑えていました。でも、ようやく思うような状態に近い調査活動に復帰することができるようになりました。これから、海に出かけるのには良い季節に向かいます。コロナによる損失分を取り戻すべく、研究調査に精を出します!

研究テーマを早く決めねば

私たちのところでは、学部の3年生が11月から研究室に配属になります。仮配属と言います。4年生になるまでの5ヶ月間をお試し期間として過ごしながら、研究テーマの絞り込みを行うのです。でも、いまの4年生たちは、仮配属中にあまり研究室に来ることができなかった学生たちなので、なかなかいつも通りには卒業研究のテーマを決めることができません。4月になってから、私たち教員や先輩たちと話しながら、結局4月いっぱい掛けて研究テーマがほぼ定まってきたようです。ゴールデンウィーク明けには、全員が本格始動に入る見込みとなりました。卒業研究にかけられる時間はあまり長くはありません。取りまとめや発表のための準備期間なども考えると、調査データを取れる期間はせいぜい6ヶ月くらいです。だから、最初の1ヶ月のロスは後々に大きく響きます。今年度は、いつもよりもなお緊張感を持って進まねばなりません。

コロナのおかげ

コロナのおかげで、私たちはオンライン授業やハイブリッド授業、オンデマンド授業などが上手に行えるようになって、これらの実施に抵抗感がなくなりました。最近では、国内外の学会がオンラインやハイブリッドでどんどん開催されるようになって、場合によっては、オンサイトの学会よりも自分の発表を沢山の人に見てもらえたり、抵抗なく偉い先生たちと学生たちが交流する機会になったりもしています。コロナ前の対面授業だったら、調査や出張のためには休講措置を取らなければなりませんでしたが、今では、出張先でオンライン授業を行ったり、後日オンデマンド配信したりして、休講を無くすことができるようにもなりました。

研究室のゼミは、コロナの渦中はオンラインばかりでしたが、ようやく対面実施が復帰しました。私たちの研究室には留学生が4名います。日本人の学生たちの発表や質疑応答を留学生たちに分かってもらうのが難しくて、困っていたのですが、最近ではLINEの上での日英同時通訳アプリなどもあって、ゼミ中にあまり時間差なく留学生たちに内容を理解してもらうことが、可能になってきました。オンライン会議でのチャット機能の延長のような感じです。皆がオンライン会議に慣れてきた副産物なのかもしれません。

私たちは抗いようのない大きな変化に揉まれながら、なんとか対処法を考えます。そして、それが次のステージでの進歩につながってゆくようです。コロナ禍を経て、私たちは前よりも一皮剥けた存在になっているのかもしれません。復活の新学期を、是非とも躍進の機会にしたいと思います。

○o。○o。 このブログを書いている人
青木優和(あおきまさかず)
東北大学農学部海洋生物科学コース所属。海に潜って調査を行う研究者。

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