陶器 / ひのはらみめい
つるりと光る陶器の肌は
冷たく
差し伸べた指先がいかに水気を孕んでいようとも
命の躍動も
鼓動の揺れも否定して
それでもちいさくカタカタと震えていた
これから起こることを予測しての震えだろうか?
わたしがあなたになにをしようとしているか
あなたの爪の先は触れてしまったのかもしれない
なにものも掴まずなにものも通さないあなたのかたさに、
ふれてみなければわからない
小さなバスに乗せてもう二度と帰らない
さようならという言葉ほどつめたい陶器はない
陶器でできた唇から陶器でできた言葉が割れいづる
決して合うことのない目と目を惜しんで決してさわれない肉をのぞんで
決して結ばれることのないちいさな花の根
細かい破片でもいいから這入ってきて
あなたをこなごなに割って、這入ってきやすいようにしてあげるの
細かい破片でもいいから這入ってきて
わたしのゆびを傷つけて
わたしのからだに埋め込まれてください
わたしのなかでひかってください
痛くても我慢するから
わたしのなかで燃えてください