きみのいる公園 / 岩倉文也
きみの永遠は差しおさえられ
わずかに歪んでいる
──そう ほんのわずかに
流れてくるのは骨組
きみの あるいはぼくの失った
鉛色の骨組 それは
ぐにゃぐにゃと柔らかく
みずを含んでふくらんでいる
きみは 見たことがあるか
ぼくたちの澄明な街が ふいに
ただれた内臓を露にする瞬間の
──顔のない白昼を
警告はつねに砕かれ
この街の 巣のない鳥たちに啄ばまれる
濡れたながい腕は
いったい どこから垂れてくるのか
空はのっぺりと晴れている
空気は乾燥だ 途方もない乾燥
しかし この濡れた傷だらけの腕は
いったい どこから垂れてくる
きみのいる公園の
錆びついた
噴水をぼくは知っている
きみが凝視している 幻影の
生臭いみずのことをぼくは知っている
でも ぼくはきみと出逢わない
きみは 公園のなかでずっとひとり
きみは そのほっそりした白い腕を
しずかに持ちあげて
太陽に透かしたりしている
きみは 気づいているか
白昼が永遠につづくことを
そこには どんな言葉も
祈りも入れないということを