文明 / 涅槃厨

大昔に永遠になってしまった、もの、ごと。
歴史未満の枝葉、省みられない人たちの
生活。うたかた。
なににもなれなかったちいさな地球。
大きな破壊。何度目かの。

(おおきな、本屋さんの
本棚、に置かれた、粘菌の本。を手に取って、
本屋さんに来る前に買おうと決めていた、
本と一緒にレジに、
持っていった。)神さまはどこに隠れてしまった
        のだろう。私たちは
あなたのことばにしたがって、よく働き、
              よく耕し、
そして、繁栄しました。(実に、
喜ばしいことだと思いませんか。)
使いきれないほどの光が降り注ぐ。
でも、すぐに闇で覆われる。

働いている、状態があと何年続くだろうか。
透明なガラス製のコップに、水がなみなみと
注がれ、今にも溢れそうになっている。
それは良いことだと思う。
良いことだと思いなさいと、
言われるから。
「暗がりに、狭くて愛おしい
はしっこにいつだって、猫は居座る。
最初から、そこにいたみたいに。」
「ぼく、もうのどからからだよ。
お水がほしい。こんなどろがまじったやつ
じゃなくて。」暗がりはただ暗くなる。
ただ暗くなって、終わりの予感だけが
強まっていく。もう、わかっているから、
「いいよ、わたしのからだを、
すきにして。」

四角い多肉植物。
指先。真っ白な彫像。
製氷機で作った氷を口の中で溶かす夏の日々。
毎日、雨が降って、洗い流される地表。
剥き出しになる裸の体。

蔦で覆われた、古い家。(あの銀色の、
未来的な建造物は、
(ずっと昔からあそこにあるんだ。)
占いによって、あの場所に建設される
ことが決定した。私たちは甘いにおいのする
なみだをながして、抵抗したけれど、
何億年もかけて、何世代もかけて
建設されることが、ついに決定してしまった。)

水族館の中の擬似的な海で暮らすアダムとイヴが、
果物を食べて、水族館から抜け出す日。
もうとっくに人類はいなくなっていて、
人類がいた、名残は、あのいまいましい
未来的な建物だけになっている。
「あれは教会なんだ。機械仕掛けの神に祈りを
捧げる場所。もう使わなくなって何億年も
経つけれど、本物の神さまよりよほど良い。
いなくならないから。人間がいなくなっても、
ほら、あの通りうごいているでしょう。」と。