追悼 / 珠子
硝子戸の向こうに写る影
偽りの今日を焼き払い
全て終わりにして
霞む記憶を手繰り
世界は私のものだと
私は私のものだと
言い聞かせてくれ
光も闇も全て 両手で抱き竦めるられる意識
ああ どうか祈ってはくれまいか
百合車の傍らで 青藍の海の淵で
世界が終わるその時を
私が終わるその時を
静かな夜は決別の朝に抱かれる
不確かな貴方 不確かな魂は
堕ちた夜に 溶けてしまうのよ
確かな記憶 確かな温度は
呪いのように 刻まれて
二度と忘れることはないわ
これまで どれほどの時間を費やした
これまで 幾つの夜を越えた か
そう
その 瞳の色は藍
硝子戸の向こう 映る影
硝子戸の向こう 映る藍
思い出すことなど何も無い