数学は論理的な言語化 ~数学苦手の数学講座①補足
次回予告では圏論といったけど…
数学は論理的な言語化というタイトルの「論理的な」の部分を語りそびれていたので、補足のための記事を書いてます。論理的な文の組み立ての複雑さで数学を超えるものはありません。数学の難解さの一部は明らかに論理の複雑さが原因ですね。
ビジネス書などでロジカルシンキングと謳われてますが、本当にロジカルな議論をする数学の議論の難解さを考えると過度な論理的思考より、比喩などを用いた方が伝達力は高いでしょうね。
次に数学の論理の肝である数理論理学にどんな要素があるかを羅列していきます。面倒なのでAIをつかって書きましたが、結構まともな文章で驚かされます。
数理論理学の要素
1. 命題論理(Propositional Logic)
命題論理は、命題とその間の論理的関係を扱います。命題とは、真偽を持つ文のことです。例えば、「今日は晴れである」という文は命題であり、真または偽のいずれかの値を持ちます。
主な構成要素:
命題: 真偽を持つ文
論理結合子: AND (∧), OR (∨), NOT (¬), IF-THEN (→), IF AND ONLY IF (↔)
例:
p∧qp ∧ qp∧q(pとqが両方とも真である場合に真)
p∨qp ∨ qp∨q(pまたはqが真である場合に真)
¬p¬p¬p(pが偽である場合に真)
命題論理を用いることで、複雑な命題を簡潔に表現し、論理的な推論を行うことができます。
2. 述語論理(Predicate Logic)
述語論理は、対象とその性質や関係を扱います。述語論理では、命題だけでなく、対象そのものやその性質に焦点を当てます。
主な構成要素:
述語: 性質や関係を表す
個体変項: 特定の対象を表す
量化子: 全称量化子 (∀)、存在量化子 (∃)
例:
∀x(P(x)→Q(x))∀x(P(x)→Q(x))∀x(P(x)→Q(x))(全てのxに対して、P(x)が真ならばQ(x)も真)
∃y(R(y)∧S(y))∃y(R(y)∧S(y))∃y(R(y)∧S(y))(あるyが存在して、R(y)かつS(y)が真)
述語論理を使うことで、より複雑な論理関係を表現でき、数学的な証明や議論の基盤となります。
3. 集合論(Set Theory)
集合論は、集合(要素の集まり)の性質とその操作を扱います。集合は数学の基本的な概念であり、多くの数学的構造の基盤となります。
主な概念:
集合: 要素の集まり
部分集合: 他の集合の要素を全て含む集合
共通部分: 複数の集合に共通する要素の集合
合併: 複数の集合の要素をすべて含む集合
補集合: 集合に含まれない要素の集合
例:
A⊆BA ⊆ BA⊆B(AはBの部分集合)
A∩BA ∩ BA∩B(AとBの共通部分)
A∪BA ∪ BA∪B(AとBの合併)
集合論は、数学の多くの分野で使用され、論理的な関係や構造を明確に定義するための基礎となります。
4. 証明論(Proof Theory)
証明論は、数学的命題の証明を形式化し、証明の構造や性質を研究します。証明は数学の核心であり、その論理的な厳密さを保証します。
主な手法:
自然演繹: 論理的な推論規則を用いて証明を構築する
シーケント計算: 複数の前提から結論を導く形式体系
形式システム: 証明のための公理や規則の体系
例:
自然演繹における証明木
証明論は、数学的な命題がどのように証明されるかを体系的に理解するための重要な分野です。
5. モデル論(Model Theory)
モデル論は、形式理論のモデル(解釈)を研究します。モデルは、理論の構造を具体的に示すものであり、理論の正当性を検証するために使用されます。
主な概念:
構造: 数学的な対象の集合とその間の関係
同型: 構造が同じであることを示す写像
満足可能性: ある理論が真となる解釈が存在すること
真理: 理論が特定のモデルにおいて真であること
例:
一階述語論理のモデル
モデル論は、数学的理論が現実の世界にどのように適用されるかを理解するための手段を提供します。
6. 計算可能性理論(Computability Theory)
計算可能性理論は、計算可能な関数や問題の境界を研究します。これは、コンピュータサイエンスと密接に関連しています。
主な概念:
チューリング機械: 計算の抽象的モデル
計算可能関数: 計算可能な関数
再帰関数: 再帰的に定義される関数
決定不能問題: 解が存在しない問題
例:
停止問題(あるプログラムが停止するかどうかを決定する問題)
計算可能性理論は、計算の限界と可能性を理解するための重要な分野です。
7. 証明可能性論(Provability Logic)
証明可能性論は、証明可能性の概念を形式的に研究します。これは、数学的命題がどの程度まで証明可能であるかを探求します。
主な概念:
証明可能性演算子: 証明可能性を示す記号
ゲーデルの不完全性定理: 任意の一貫した形式体系には証明不可能な命題が存在することを示す定理
例:
□P□P□P(Pが証明可能)
証明可能性論は、数学の限界とその理論的な基盤を理解するための手段を提供します。
8. 有限モデル論(Finite Model Theory)
有限モデル論は、有限構造における論理的性質を研究します。これは、計算理論やデータベース理論と密接に関連しています。
主な応用:
計算理論
データベース理論
複雑性理論
有限モデル論は、有限なデータ構造やシステムにおける論理的性質を解析するためのツールを提供します。
9. 直観主義論理(Intuitionistic Logic)
直観主義論理は、構成主義的な観点から論理を研究します。これは、数学的対象が具体的に構成可能であることを重視します。
主な特徴:
排中律の否定
証明に基づく真理
例:
直観主義命題論理
直観主義述語論理
直観主義論理は、数学の基礎的な論理に対する異なる視点を提供します。
10. 多値論理(Many-valued Logic)
多値論理は、真理値が複数ある論理体系を扱います。これは、伝統的な二値論理(真または偽)の枠を超えたものです。
主な概念:
真理値の範囲
評価関数
例:
三値論理
無限値論理
多値論理は、複雑なシステムや不確定な情報を扱うための論理的枠組みを提供します。
次回予告
数理論理学を基礎に様々な数学の議論はされますが、集合論以外にも対象と対象同士の作用で表現する圏論というものがあります。圏論は式だけでなく、可換図式という四角と矢印で描く図でも表現できます。ビジュアルシンカーにも数学がわかりやすい表現ができ、また米田の補題のような強力な定理を使うことができます。
次回は圏論です。勉強中なので、少し遅くなりますが次回も読んでください。