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『8番出口』からの脱出記録
地下通路。
日の光はまったく見えず、人工的な蛍光灯の光が通路を覆い、床には視覚障害者用の黄色いタイルが並んでいる。壁には白いタイルが敷き詰められるように等間隔で配置されており、ひっそりと、無機質に、代わり映え無く、永遠と同じような景色が続いている。
この『8番出口』は、そんなどこか見覚えのある日本の地下通路から脱出するゲームだ。
昨年年末ころにPC向けインディーソフトとして配信され、実況動画などを中心に話題となった作品で、この度ニンテンドーSwitch版が配信されたので早速プレイしてみることにした。
ゲーム開始
ゲームがはじまるとプレイヤーはどこかの見知らぬ地下通路にたたずんでいる。
通路の先を見るとゆっくり歩いてくるひとりの男性。
壁にはポスターが貼られており、上方には「↑出口8」の文字が。
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「な~んだ簡単じゃん、道に沿って向かった先が出口なんでしょ」
そう思い、私は進んでいく。ちょっと薄暗い蛍光灯の光や白いタイルの光沢が妙にリアル。
まあ、サクッとクリアしちゃいましょう。
んが、その道の先には先ほどと変わらない景色が。
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?????
どういうこと???
と、まわりを見渡してみると先ほどは気づかなかった(無かった?)掲示板が目に入る。
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■異変を見逃さないこと
■異変を見つけたら、すぐに引き返すこと
■異変が見つからなかったら、引き返さないこと
■8番出口から外に出ること
つまり、私はいま無限に続く地下通路に閉じ込められているのだ。ここから脱出するためには似たような景色の中にある「異変」を 見つけ出し、「8番出口」まで辿り着かなくてはならない。異変に気づかず先に進んでいっても同じ場所をループするのみ。ゲームをクリアするためには進むか、進まないかを適切に判断する必要がある。
要は立体的な間違い探しということか。
異変を見つけたら通路を引き返して逆方向へ進行。異変が見つからない通常の通路だと判断したらそのまま前進。
ルールさえ覚えてしまえばこっちのもんだ。
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気を取り直して「出口0 →」から改めて脱出を開始する。
この「出口0 →」と表示されている案内看板は、正しい”順路”で通路を通過した場合、「出口1 →」「出口2 →」とひとつずつカウントが増えていく。逆に間違った順路を選んでしまった場合は再び「出口0 →」に戻され、イチからやり直さなくてはならない。
というわけで進んでみる。
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;( ˆωˆ ):なんじゃこりゃあ。怖ええ。これは異変すぎる。
こういう場合は一目散に引き返しましょう。
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異変を正しく認識し、逆方向に進んだため、出口のカウントは「出口0 →」から「出口1 →」に変化している。つまり正しいルートを選んでいるということだ。
よしよし、ではこのまま進んでいこう。
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壁よーし。
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おじさんよーし。
間違い無いな!オールオッケー。せっかくだから、俺はこの通路を選ぶぜ!!
((( ^ω^)
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( ^ω^)……
間違ってるやんけ!!!
どこがオッケーやねん。
ぐぬぬ。まったく異変に気づかなかった。
次は間違えないようにしなくては。
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こんな感じでトライアンドエラーを繰り返しながらゴールを目指していかなくてはならない。正解の道を選び、徐々に案内版に書かれた数字が増えて行くにつれ、プレイヤーの緊張感は高まり、
「絶対異変を見逃さないぞ……!!」
という気持ちになる。
しかし、
絶対なんの異変もない!!と思って進んでも、実際にはどこかに異変があったらしく、0番出口に戻される、ということがこの後も何回もあった。まさにループ。
ループし過ぎて、途中から何も考えず突進したり、なんとなくカンで道を引き返したりなんてこともし始める。
やってて「注意力なさすぎだろ自分」と思うことが何度もあった。
でもそれもこのゲームの面白さ。
間違ったルートを選び、再び「出口0 →」に戻される、そのループしている感覚がクセになる。
次はどんな異変があるのかな、というアハ体験的面白さも病みつきになる。
突如蛍光灯が切れ通路が真っ暗になったり、ドアからドンドンッとやかましい音が聞こえてきたり、あるはずのものが無くなっていたり、おじさんが普段と違う挙動を見せたり、その他にも割とホラーテイストな異変も多発するのでホラーゲームとしても優秀。
でもそういう分かりやすい異変ならむしろありがたいくらいで、壁のしみが変な模様に見えたり、ブロックに変化があったりと、ぱっと見では見つからない異変も数多くある。
集中して異変を探し、問題無い!と判断した先が「出口0 →」だったときの徒労感ときたら……!!
なんでしょう、途中からデバッカーの仕事ってこういう気持ちになるなのかな……なんて思いながらプレイしていました。
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中にはすごくわかりやすい異変もあって、その異変の波もプレイヤーの気持ちを飽きさせない。たぶん実況動画でウケるのもこういった案配の巧さが要因だろうなと思う。
あと『シャイニング』から影響を受けたであろう異変が結構あって、そういう異変は怖いというよりなんか楽しかった。
いつもより動きの速いおじさん
いつもより小さいおじさん
いつもより大きいおじさん
そういうおじさんに関する異変は普通に笑っちゃったし。
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たぶん注意力のある人なら30分くらいでサクッと脱出できるんじゃないかと思う。そのお手軽さもこのゲームのいいところ。
私? 私はそもそもこのゲームのルールを理解するのに30分くらいかかったので(案内版の存在にも気づかなかったので後ろ向きで進行してみるとか、おじさんの目の前でじっとしてみるとか色々無駄なことを試していた)、結局2時間くらいかかりました。阿呆である。
でもそのぶん8番出口から出られたときの解放感と安心感はすごかった!
というわけで、シンプルですがとても斬新なゲームでした。あと、夜にやるとかなり怖い思いをすると思うので、そこは注意した方がいいですね。