益田大会出場記 #4~秘境を目指して~
皆さまこんにちは。
ご覧いただきありがとうございます。
かるたびと と申します。
関東在住の大学3年生で、大学では競技かるたを嗜んでいます。大会に出場すべく、あるいはただの電車好きが高じて、日本全国様々に旅に出ています。
今回は【益田大会出場記 #4】、昨年8月上旬に島根・益田市で行われた大会の出場記の第4弾。4日目の夜宿泊した鳥取県・鳥取を後にし、5日目の目的地へと向かっていきます。
さて、今回は内容の都合上、第1章は文章だらけです…拙い文章ですが、どうかお楽しみいただければと思います。
前回【益田大会出場記 #3】はこちらから。大会を終えた4日目の朝に益田を出発し、山陰の夏を堪能する長旅後半戦の始まりです。
旅の全容を見たい!という大変ありがたい方はこちらから、マガジンでご覧いただけます。
予定とは狂うもの
急遽の日程組み直しへ
おはようございます。
2023年8月8日(火)、時刻は朝6時40分…
寝 坊 で す 。
やってしまいました。6泊7日もあればどこかでやってしまうとは思っていたのですが、よりによってかなり厄介な日に…
え?分かりますよ。十分朝早く起きることができていますね、それは分かっています。ですが、この日の旅程は既に狂ってしまいました…その理由はただ一つ、ダイヤがあまりに過疎であることです。
少し本筋とは離れますが、ここで4日目の宿泊地、鳥取の交通事情のお話をします。別に読まなくてもいいかなという方は、次の節はまとめて読み飛ばして頂いてもお話は繋がります。
鳥取のJR事情
鳥取県最大のターミナル・鳥取を通っているJRの路線は、山陰本線と因美線の2路線あります。
因美線は、鳥取と岡山県内陸部・津山を結ぶ路線となっていて、山陰↔山陽間の移動に使用されるいわゆる「陰陽連絡線」の1つ。途中駅の智頭(ちず)からは、兵庫県・上郡に向かって智頭急行なる私鉄が分岐しています。
因美線の話はさておき、鳥取は因美線の起点駅。ですから、鳥取からのJRでの移動としては3方向が考えられるわけです。
まず、山陰本線・米子/出雲市方面。前回#3ではこちらから鳥取に着きましたね。そちらの記事でも少し書きましたが、この方面には鳥取↔米子・益田間を結ぶ特急「スーパーまつかぜ」号が1日7本設定されており、他の特急も充実。平日日中の時間帯でも、普通・特急がそれぞれ約1時間に1本は運行しています。
次に、因美線・智頭方面。山陰"本線"と比べると、名前からややローカル線臭がしたり…しますが、実態はむしろその真逆と言っていいでしょう。
実はこの因美線、数ある陰陽連絡線の中で最重要なものの1つと言っても過言ではないのです。
陰陽連絡線の難点は、揃いも揃って線形が悪いこと。中国山地がそびえ立つ都合はもちろんありますが、走る列車はきついカーブや傾斜などが要因でなかなかスピードを出せず、速達性に欠けることがほとんどです。
その中でひときわ目立つのが、倉吉・鳥取↔京都間を結ぶ特急「スーパーはくと」号と、鳥取↔岡山間を結ぶ特急「スーパーいなば」号。これらは鳥取を出ると智頭まで因美線を進み、智頭↔上郡間はなんと私鉄である智頭急行線を走行。上郡から山陽本線に合流して京都や岡山を目指すのです。
これらの特急がそれぞれ1日7本・6本設定され、普通列車も1時間に1本は確実に運行。ローカル線臭などと言ってすみませんでした、という感じですね。
さて、問題は山陰本線・浜坂/豊岡方面。こちらは時刻表を見ていただいた方が早いかもしれません。
…もうお察しですね。ほとんど1時間に1本あるかないか、平気で2時間半も間隔が空いたりすることも。1本だけ設定のある特急は、大阪発着で1日3往復設定のある特急「はまかぜ」号が1往復鳥取にやってきます。が、特急は1日を通してこの1本だけ。ちなみにあと2本は浜坂にすらやってきません。
加えて恐ろしいことに、この区間に乗車して浜坂に辿り着いた先も散々なのです。浜坂から乗り継ぐことになる、山陰本線・豊岡方面の時刻表も以下に載せておきます。
…少ない。非常に少ない。8時→10時半→12時ですよ。まあ、鳥取から出ている他の2方面に比べると利用者は格段に少ないようなので、当然は当然なのですが…
さて、鳥取のJR事情、ざっくりとお分かりいただけましたでしょうか。
長くなりましたが、ぼちぼち本題に戻るとしましょう。
2時間半の遅れと代償
5日目のこの日、鳥取から向かう先は山陰本線・浜坂/豊岡方面。前の節で詳しく説明した通り、とにかくダイヤがスカスカ。寝坊のダメージは超絶大となってしまいました。
ここで、当初の予定ではこのように動く予定でした!という妄想のお話を少しだけ挟みます。前の節を読んでいただいた方もそうでない方も適宜、時刻表を見返していただきながら読むことをお勧めします。
注釈を1つ。3本目、餘部から乗車する予定だった普通列車は、浜坂8:02発の普通列車と同じものです。
予定ではこのように動こうとしていたとはいえ、旅5日目の朝、5時台にしっかり起きられるか?と言われると決して自信が無かった私。
それでも、鳥取6:48発の普通列車に乗って浜坂に向かい、餘部を諦めて城崎温泉に向かうと同じ時刻に到着できる。我ながら、保険もばっちりのプランニングです。
そして朝、宿泊先のベッドの上、時刻は6時40分。宿から駅まで、超猛ダッシュで10分。
あ~~~あ。間に合いません。保険適用ならず。
やってしまったことは仕方がないので、その次の普通列車に乗る前提で支度をします。鳥取8:06発の普通ですね。
とここで、皆さんにぜひお気付きいただきたいことが。ぜひ再度、前の節に記載した2つの時刻表をご覧ください。ヒントとして、鳥取→浜坂の所要時間は約40~50分であることもお伝えしておきます。
…察しの良い方はお分かりでしょうか。
鳥取8:06発の普通列車は、浜坂で乗り継ぎがないのです。
その前後は、鳥取6:48発→浜坂8:02発・鳥取9:45発→浜坂10:31発とそれぞれ乗り継ぎがあります。が、鳥取8:06発に対応する普通列車は…どこをどう探しても見当たりません。
浜坂から乗り継げないということは、当然餘部にも向かえない。もはやただ城崎温泉に向かうだけになるわけですが、それなら鳥取8:06発に乗る意味は全くもってありません。
ということで、出発地から動かぬまま早々にして2時間半の遅れが決定。予定の組み直しをしつつ、何か面白いものを見つけられる可能性に賭けて、鳥取を後にすることになりました…。
新たな秘境への旅
どうせ前に進めないなら
計画を練り直しながら、ひとまず最速で浜坂まで向かうことに。スマホ片手に時刻表を見つつ、外を見やると雄大な日本海が広がります。
列車は定刻通り浜坂に到着。そして定刻通り(?)、ここで1時間半を超える待ち時間が爆誕しました。いくらなんでも退屈…と思っていましたが、失礼ながらただの乗り継ぎ駅と思っていた浜坂も、なかなか面白そうな所のようですよ。
これは、浜坂の地を少し探検してみるのもアリかもしれません。
しかも、何やら兵庫県・鳥取県の山陰海岸側では、観光キャンペーンとして遠方から来た列車利用者向けにレンタサイクルの無料貸し出しを行っているとのこと(毎年8月~11月頃行われている?ようです)!
浜坂を見回ってみるのもありだな…と思いながらも、私の中にはもう1つの案が浮かびつつありました。
あ、言い忘れていましたが。浜坂駅の所在地は兵庫県・美方郡新温泉町。サラッと鳥取県は抜け出しておりますよ、というご報告。
そもそも私が「秘境駅」というものに興味を抱いたのは、いわゆる乗り鉄の類いである私が、鉄道に乗って旅をする中で"鉄道に乗る以外の目的地が欲しい"と思ったことがきっかけです。
秘境駅についていろいろ調べてみると、秘境駅訪問家の牛山隆信さんという方がまとめた「秘境駅へ行こう!」なるサイトを発見。どうやら年度ごとに、魅力や秘境度などを点数化して秘境駅のランキングを作成・公開していらっしゃるとのこと…これは見逃すわけにはいきません。
そこで、私はいつか、このランキングに含まれる192駅(2023年度現在。駅の廃止等により変化する)を全て訪問して、この目で見ようではないか!などと考えていたり、いなかったりするわけです。
↓「秘境駅へ行こう!」サイトはこちらから。
さて、山陰本線の浜坂付近には、上で説明したランキングで紹介される秘境駅がかなりの数存在しています。浜坂からの駅数と共にご紹介。
・久谷(豊岡方面(これから向かう方面)に1駅)
・餘部(同方面に2駅)
・鎧(同方面に3駅)
・居組(鳥取方面(今通ってきた方面)に2駅)
これだけ近くにたくさんあるなら訪れてみたい…という思いと裏腹に、何度も言いますが豊岡方面の列車は1時間半来ません。
…となると、その待ち時間で訪れることができる可能性があるとすれば、それは1駅に限られますね。
でもせっかく面白そうな所だし、浜坂ものちのち探検することにしようか。そんなことを考えながら、再び動き始めました。
戻ってみてもいいじゃない
時刻表を見ると、なんと程よく鳥取行きの山陰本線が存在しているではありませんか。
しかも、私が乗ってきた乗り継ぎのないふざけた普通列車の次に乗り継ぎのある、鳥取9:45発の普通列車に乗って浜坂に戻ることができます。これは今行くしかない。浜坂の私は、先にこちらを優先することにしました。
先ほど通ってきた鳥取方面に戻るようにして進むこと2駅、秘境駅・居組に到着です。
が、秘境駅に関する記録までここに書いてしまうとかなり長くなりそうなので…居組駅訪問に関する記録はこちらに詳しく書いています。自ら訪れた秘境駅の魅力を、存分にお伝えできていると思いますので、ぜひこちらもご覧ください。
さて、秘境駅・居組の訪問を終えたら、浜坂へと戻っていきます。
浜坂に戻ってきました。10:31発の城崎温泉行き発車まであと4分。ですが、これには乗ることなく。やはり浜坂を探検してみることにします。
未知の地を知る
浜坂駅前にある観光案内所で自転車を借り、いざ探検を開始。といっても、6時台に動き始めたのでさすがにお腹が空いてきました。加えて8月の快晴とくれば、その暑さがなかなかに堪えます。
何か食べ物が欲しいなと思いつつ、地図を見ていると少し遠くに「道の駅」の文字が。前日訪れた出雲大社の道の駅で、中国地方の道の駅のスタンプラリーなる物を発見した私は、近畿にも同じような物があることを調べていました。
スタンプはもちろん、ここに行けば何か食べ物があったり、地域を感じられるものがあったりするかな?と思いながら、炎天下の中2キロほど自転車を漕ぐことに。
15分ほどで「道の駅 山陰海岸ジオパーク浜坂の郷」に到着。
このあたりは兵庫県・但馬地方ということもあり、但馬牛に関するお土産があったり、お肉屋さんが入っていたりという様子。道の駅にありがち(?)な野菜の直売なども行われていました。
暑さでヘトヘトの私は、季節限定と書かれたレモンソフトを食堂で注文。いかにも酒の肴になりそうな、「但馬牛 食べるラー油」などと宣う商品もお土産として購入。少し距離はありましたが、訪れて正解でしたね~。
この道の駅があるのは、山陰本線よりも内陸側。観光案内所に「サンビーチがおすすめだよ」と言われたので、今度は山陰本線を越えて反対側(沿岸側)に向かいます。
線路を突っ切ってさらにまっすぐ進むと、いつの間にか辺りを田んぼに囲まれた細い道へと入っていました。灼熱の中で夏を大いに感じながら、さらに漕ぎ進めていきます。
田んぼから5分ほど漕ぎ進めると、突然海沿いの道路に出ました。車通りもそこそこあり、片側1車線のしっかりとした道路です。
道路沿いに進むと、「浜坂県民サンビーチ」に到着。観光案内所でおススメされた海岸です。
先ほどからは一変して、今度は雄大な海が出現。道路を挟んで反対側にはキャンプ場があり、いくつかテントも張られていました。
何がすごいかって、ここに自転車で来た私は、ほんの数分前に広大な田んぼを見てきたばかりなのです。それなのに、これだけ雄大な自然に再び囲まれている。日本にはまだまだ面白い地がたくさんあるな~、と深く実感したのでした。
温泉こそ時間がありませんでしたが、夏の浜坂の自然をある程度満喫して、観光案内所へ無事帰還。予定通り、次の列車に乗ることができそうです。
思いがけない出会い
さて、浜坂からついに山陰本線を乗り継ぎ、豊岡方面へと向かいます。
定刻は浜坂12:05発。始発列車なので少しは早く到着しているでしょう、と思いながら、早めにホームに上がっていました。
が、まだ列車は来ておらず。すぐに接近放送が流れ、次に乗る列車が到着…ん?いや、これは違う列車でした。まだ来な…ん?
…ん????
なんと、JR西日本の誇る超高級クルーズトレイン「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」がご登場。山陽・山陰地方の魅力を存分に感じながら、1泊2日or2泊3日のクルーズを楽しむことができます。
運賃は30万円台から始まり、2泊3日のスイート(2名)は最高で130万円にも…それでも定員数十名の抽選販売は超人気で、乗車抽選の案内はなんと半年前に行われます。
山陰・山陽地方全てを併せて1編成しか走っていないこの車両。TWILIGHT EXPRESS 瑞風には「山陽コース(上り・下り)」「山陰コース(上り・下り)」「山陽・山陰コース(周遊)」の5ルートがあり、1編成をうまくやりくりしながら運行がされています。
後々調べたところ、この日は「山陰コース(上り)」2日目の運転日。ちょうど浜坂に停車するところに、私は出くわしたのです。
TWILIGHT EXPRESS 瑞風の情報はこちらから(現在は山陰本線の一部不通などの影響により、ルートが変更となっています。山陰ルート(上り)は現在は浜坂駅を通過します)。
浜坂を探検して良かった~~!と思っていましたが、そういえば豊岡方面に向かうのでした。瑞風に気を取られてしまい全く気付いていませんでしたが、瑞風が停車していたホームの向かい側にずっと停車していたようです。
何度か海沿いを通り、城崎温泉には定刻通り到着。
朝しっかり起きることができていれば、城崎温泉8:57着…4時間の遅延となりましたが、当初の予定にない場所をたくさん満喫したので良いでしょう。
ただその先のことを考えると、残念ながら城崎温泉を堪能する時間は無いようです…乗り継ぎは30分ほど時間があるので、駅の外に出てしばし休憩をとりましょう。
というわけで、今回の記事はここまでとさせていただきます。
特大ダメージの寝坊により旅程の変更を余儀なくされますが、別の秘境駅の訪問や未知の地の探検で満足度◎。結果的に行き当たりばったりになってしまった旅も、やはりまた一興です。
次回は、5日目もいよいよ後半!新たな目的地を目指して、秘境の雰囲気を愛する1人の大学生(変態)が近畿地方を行ったり来たり。
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同趣味の方は、こちらからもぜひ記事拝見させていただければと思います。
それでは、ご覧いただきありがとうございました。
またお次の機会に。