#70 神話を壊すmythoclasticな話
今日のOxford English Dictionary(OED)のWord of the day(WD)はmythoclastic(adj)だった。意味は「神話を壊すもの」である。語源的には、ギリシャ語の'mythos' (神話) + 'klastos' (壊す)である。
親密で排他的な小集団?
一方、Merriam-WebsterのWDは、coterieであった。名詞で、意味としては、「親密で排他的な小集団(an intimate and often exclusive group of people)」を指す。語源的には、ONのkot(小屋)に結びつくとされており、同根語にはcottageがある。
MWでは、この coterie の類義語として coven を紹介している。covenは「秘密のグループ」ぐらいの意味だが、「通例13人の魔女集会(an assembly or band of usually 13 witches)」という意味も併せ持つ。
で、このcovenの語源を探ると、ラテン語のconventusに遡るが、これはconventへと連なる語である。conventは女子修道院という意味だ。
Covent Garden
とここまで話がくると、ロンドンのCovent Gardenを思い出す人もいるだろう。
Covent Gardenは昔、市場があった場所で、現在ではショッピング街やロイヤルオペラハウスがある場所である。この名前の由来を辿ると、この地に、1400年ごろ、ウェストミンスター修道院の修道士たちの壁に囲まれた野菜畑があったことがわかる。
以上、'coven', 'covent', 'convent' と綴りは異なるものの、同じ語源から派生した単語が異なる歴史を持ちながらも、ゆるく共通点を持つことは興味深い。
mythoclasticなanecdote
最後に、coven が「13人の魔女の集まり」とされた理由について、なぜ13人?と思うが、一つには、ロンドン大学の考古学者のマレーが、魔女のことやこの数字にまつわる話を広めたとされている。当初は信じられたものの、後に他の学者から否定されている。まさにこの件もまた、mythoclasticなanecdoteではないかと思われたのだった。
今日はそんなところです。