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#159 【英語史クイズ】avocado, chili, chocolate, potatoのうち、ナワトル語由来の単語でないのは、どれ?

問題レベル★★★☆☆(中級レベル)
#158のクイズでTomatoがnāhuatl(ナワトル)語由来という話を書いた。nāhuatl語の話者は、Wikipediaでは、メキシコに170万人ほどいるとされ、北アメリカ大陸最大の先住民語と記されている。言語的には、母音のuがなく4つとされている。

今回は、別名アステカ語とも言われる、ナワトル語関係のクイズである。

問題

avocado, chili, chocolate, potatoのうち、ナワトル語由来の単語でないのは、どれ?
(a) avocado
(b) chili
(c) chocolate
(d) potato

問題のねらい

上に書いたように、ナワトル語は、メキシコで主に話されている言語である。また、歴史上、様々な面でスペイン語の影響を強く受けている。つまり、メキシコっぽい語やメキシコ料理っぽいのを選べばいいかもしれない(そんなことを言われても、という心の声は無視した)。

解答

(a) avocado
avocadoは、ワカモレ(Guacamole)=アボカドソースで有名なので、分かる人には、すぐに分かったかもしれない。ナワトル語ahuacatlから、スペイン語aguacateを経て、avocadoとなり、英語に入ったとされる。

(b) chili
ナワトル語chilliから。ナワトル語でも唐辛子を指すとされる。唐辛子は、メキシコでは香辛料として非常に好まれている。

(c) chocolate
英語語源辞典こと、KDEEでは、ナワトル語xocoatl = xococ (bitter) + atl (water)で「苦い水」由来としている。英語としては、1604年から。

なお、このナワトル語経由という点については諸説あり、xocoatlという語が文献に見つからないという話もある。が、チョコっとそこは目をつぶっていただき、とりあえずメソアメリカからスペイン経由で英語へ入ったという事実は変わらないから大体ナワトル語あたりと大目に捉えていただければと思う。

(d) potato
というわけで、消去法だと、potatoがナハトル語由来ではない。つまり、答えである。

KDEEでは、英語potatoは、スペイン語patata由来とされる。そして、patataはカリブ海地域のタイノ族の言葉batata(=サツマイモ)由来とされる。

以上の経緯のためか、KDEEでは、potatoの意味としては、「サツマイモ」を1565年から、「じゃがいも」を1597年からとしている。

しかし、potatoがbatataからサツマイモを意味するとした場合、sweet potatoは「甘いサツマイモ」という意味になる。そうなると、そんなバタタ!(=バカな)と思わず言ってしまいたくなるのは仕方ないことだろう

まとめ

以上、ちょっと野菜から離れてしまった感が拭えないが、それでもpotatoとavocadoについて示すことができてよかった。

個人的にはchocolateも好きだが、このように名称自体には馴染みがあるとは言えない「ナワトル語」が、スペイン語や英語を介して、遠く旅をしてきて、日本語でも身近な言葉として使われている時点でびっくりではないかと感じる。メキシコ人も、そんなバタタ!と述べてもいい案件だろう(←くどい)

今日はこんなところです。

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