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#79 dinnerがなければスープを飲めばいいじゃない(!?)。

dinnerの語源は?

前回dessertについて扱ったが、今回はdinnerを取り上げる。語源中毒に周りの人を引き込むには、食べ物関係の言葉が大事である。話題にしやすく、興味を持つ人が多いからだ。

で、dinnerだが、この語はdine「正餐をとる」という動詞の不定詞形(名詞用法)からできた言葉だ。高校生の時に、大抵は夕食を指すが、「その日で最も良い食事」を指すこともあるので、これが昼食の意味の場合もあると、改めて習ったのを覚えている。

KDEEで確認しよう!

KDEEこと、英語語源辞典でdineを調べると次のような表記がある。

この語はもとは「朝9時ごろから正午の間にとる主な食事」について用いられたが、生活習慣の推移からやがて現行の「夕食、晩餐」の意となった。しかし地方や社会階層によっては、今日でも一日の主な食事 (dinner)を「昼食」としている場合もある。一方フランス語では、diner が「夕食、晩餐」を指すようになるとともに、déjeuner が代わって「昼食」を指すことになった (cf. DÉJEUNER, DINNER)

研究社「英語語源辞典」"dine" p.362

もともとdineは、VL *disjējūnāre = dis- + jējūnāre "to fast"に由来する。なので、英語breakfastと意味は同じであり、朝食がその原義なのだろう(堀田先生のブログのhellog記事参照(クリック))。しかしながら、noonが9時(もともとは日の出から数え始めたので午後3時を指す)からだんだんと早まり、13世紀には正午を指すようになったとされるように、dinnerも数世紀を経て、昼食や夕食を指すように変わっていったのではないかと思われる

dinnerが昼食なら、夕食は?

dinnerが昼食を指す場合もあるが、1250年ぐらいから初出の夕食を指す語はsupperである。普段は「昼食がご馳走だと、夕食は「さっぱり」したものがいいからsupperサパー」と言っているが、実際には、中英語のso(u)pperの綴りから推測できる通り、soupに由来する語だ。KDEEにも「フランスの農夫の間では夕食はスープが普通だったという」と説明がある。この語もdinnerと同じく、フランス語の不定詞の名詞的用法からきている。

dineの派生語たち

話が少しずれたので、dineの話に戻ると、dinnerだけでなく、dinerやdining roomなどの語も合わせて確認したいところだ。いずれも「食べる」と関連した言葉であることはいうまでもない。

Tom's Diner

dinerといえば、ずっと昔の曲になってしまったが、Tom's Dinerがすぐに思い出される。英語を習い始めた時に意味もわからず歌詞を覚えて歌ったが、以前書いたcathedralなどの単語もこの曲で覚えたような気がする。下はNPRのミニコンサートの様子である。Lukaなども含めて4曲歌っている(最もTom's Dinerに関しては、YouTubeのアカペラバージョンが最も好きだ)。若い時には、こんなに身近に感じられなかったが、今では週末の朝に気軽にコーヒーを飲みながら自宅で聞けるようになり、良い時代である。

https://www.youtube.com/watch?v=AndEMO__p2U

今日はこんなところです。

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