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#127 【英語史クイズ】 Williamと語源的につながりのない語は?

調子に乗って、英語史クイズ第2弾

昨日は、ドラクエの命名にちなんで、名前の語源について扱った。今日は、Williamと語源的に繋がりがない語について

問題:次のうち、Williamと語源的につながりや関連がないと思われる語はどれ?
(a) Brussels
(b) colour
(c) village


印欧祖語*kel-を考える

前の記事にある通り、Williamはwill+helmとされる。このhelmは印欧祖語*kel- へと遡ると考えられている。では、上の3語について、*kel-との繋がりがあるかどうかをみていきたい。

(a) Brussels

言わずと知れたベルギーの首都、ブリュッセル。下の英語版のWikipediaにも、その地名の由来が書かれている。

The most common theory of the origin of the name Brussels is that it derives from the Old Dutch Bruocsella, Broekzele or Broeksel, meaning 'marsh' (bruoc / broek) and 'home, settlement' (sella / zele / sel) or 'settlement in the marsh'.
(ブリュッセルの名前の由来として最も一般的な説は、「沼地」(bruoc / broek)と「家、集落」(sella / zele / sel)、または「沼地の集落」を意味する古オランダ語のBruocsella、Broekzele、Broekselに由来するというものである。)

Wikipedia "Brussels"より

なお、上記のselが部屋などを意味するラテン語cellaに遡るとされ、それがconceal, coverを意味する印欧祖語*kel-とつながりがあるとされる。そしてここで、Williamのhelmとの関連がでてくる。

(b) colour

勘の良い方ならすでにお気付きだろうが、colourもまた印欧祖語*kel-と関連する語とされている。*kel-はcoverの意味があるので、覆うもの→皮膚→肌の色、顔色、外見などと意味がかわり、最後には「色」を意味するようになったようだ。

なお、日本語で色が「反省の色が見えない」などの場合は、外見や様子を示しており、英語の意味的な共通点のように感じられる。その一方で、「英雄色を好む」などに見られる「色」の意味は漢字の成立と関連があるらしく、英語のcolourにはその意味は見られない。興味深いポイントだと感じている。

(c) village

言わずもがな、この語がWilliamとはまったく関連のない語となる。この語は印欧祖語*weik- に遡るとされ、*weik-は一族ぐらいの意味となる。なお、映画ヴェノムなどで、単語villainも割と日本語に浸透してきている気もするが、この悪人を意味するvillainは、もともとは農家→田舎者→無礼者などと意味が変遷してできた語である。

もちろん、クイズとしては、このvillageがWilliamとは関連のない語として答えになる。

まとめ

印欧祖語*kel-につながる語か、*weik-につながる語かということで、今回は2種類に分けた。紀元前4000年ごろと一般的にされる印欧祖語と現在使われている単語は、意味や綴りがかなり異なっている場合もある。懇親会等で静かになった時に出すネタとして、いくつか作っておきたい。

今日はそんなところです。

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