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#112 短くなった言葉たち
MW(Merriam-Webster)のサイトでは、面白い単語に関するコラムが読める。語源中としては、たまに読み返しているが、その中で好きなのに、「短くなった言葉たち」というのがある(原題は、「短く変えられた言葉たち」ぐらいの意味だ)。
短くなった言葉の中には、様々な単語がある。同記事の中で特に有名なのは、soccerだ。今回は、主にnabeについて。発音は/néɪb/、カタカナではネイブだ。
nabeとは
Collinsのdictionary+では、nabeは日本語の「鍋」が載っているが(発音も/ˈnɑːbɛ/だ)、今回はそれではない。
今回のnabeはneighborhoodの意味となる。もともとは、近場の劇場を指す言葉で、1933年からNew Yorkあたりで使われていたらしい(Wiktionaryによる)。VarietyやBillboardなどの雑誌で、the nabe houseなどと使われていたようだ(その当時の記事がgoogle booksなどで見ることができる)。
これが、neighborhoodと同じ意味で使われたのは、1942年からとされている。綴りもneighbとかでなく、nabeとなっているのが現在っぽい。
neighborhoodの語源は?
ところで、語源中毒こと、語源中としては、neighborhoodの語源について触れざるを得ない。容易に想像がつくとおり、もともとneighbor+hoodで構成されている。
前者のneighborは、etymonlineでは、neah "near" + gebur "dweller"とされていて、古英語からとされる。
ちなみにneah(nigh)の比較級がnearで、最上級がnextというのは割と知られた話である。nextは古英語は、nīehsta/nīehsteで、中英語でnexteなどと綴られており、中英語でxが綴りに入ってきたようだ。なお、この辺りの綴りの変化はnightの変化と関連があるのかもしれないと感じた。
-hoodは状態などを示す接尾辞だが、元を辿っていくと、ドイツ語-heitと親戚となる。華氏Fahrenheitの-heitと近いと思うとなんだか面白い。
hankie
もう一つ同じ記事から気になる単語を挙げるとしたら、hankieも捨てがたい。これはhandkerchiefこと、ハンカチの短縮形となる。記事中にも書かれているが、発音されないdはこの短縮形からは消えている。
ところで、handkerchiefは、日本語と意味が違う単語として、高校の授業で気をつけるべきと習った単語だ。実際、Collinsで引くと以下のように定義されている。
A handkerchief is a small square piece of fabric which you use for blowing your nose.(ハンカチは、鼻をかむときに使う小さな四角い布である。)
日本では手を拭くためだが、英語では鼻をかむための布となる。日本での「ハンカチ貸して」と英語圏の「ハンカチ貸して」は一般的には意味が異なることに注意だろう。
今日はこんなところです。