Noと言う勇気
しばらく前だけど、出張先で過度の飲酒を強いられ、死に至った社員の家族に、遺族補償の給付が認められたという記事を見た。
海外でテレビ番組の制作に関与していた日本人男性が取引先との会合で
「断わっては失礼」とされる一気飲みを、10杯も強いられたとのこと。
「参加者に好印象を持ってもらおうと、勧められるままに乾杯に応じた」
とあったけど、上司や顧客の気を悪くしないための行為が、命取りになってしまったのだとしたら、あまりにも悲しい。
「会社や組織のためなら、無理な依頼や誘いも、我慢して引き受ける」といった暗黙の了解がある職場は、まだまだ多いんだろう。
だから、「無理です」「気が進みません」なんてなかなか言えないし、言ったら、生意気、勝手のレッテルをはられちゃう。
本心が言えたら、どんなに楽になるだろう。
子どもの頃から「ウソはドロボーの始まり」「正直が一番」と教わってきた。なのに、大人の世界に入ると、大人はショッチュウ、ウソをつく。で、それをウソとは呼ばずに、タテマエと呼ぶ。
確かに、ハイハイと頼みを引き受け、誘われるままつきあっていれば、波風は立たない。だから、対立を避けるために、ついつい YES と言ってしまう。
でも、そうやって、人に合わせてばかりいると、すっごく疲れてくる。
こういう無理は、実は自分にも、相手にもよくない。
気が向かないのに、誘いにのったり、頼みごとをきいてあげたりしても、自分も楽しめないし、相手にも嫌々の空気が伝わって、せっかくの努力も水の泡になり、裏目に出ることも。
だから、少なくとも、私生活では無理はしないと言う人も多いかも。でも、それが、仕事がらみの依頼や招待となると、「仕事は別」と当然のように自分を抑えてしまう。
でも、本当にそう?
できそうもないことや、どうしても気が進まないことにぶつかったら、その気持ちを正直に言ってみたらどうだろう?
すごく怖いけど、思い切って、本心を伝えてみては?
今まで「ハイハイ」だった人が急に渋りだしたら、初めは周りも戸惑うし、相手のネガティブな反応を見るなり、「やっぱり、だめだ~」とくじけそうになるかも。
でも、何かが変わるときは、ギクシャクがつきもの。その新しい状況が、どんなに居心地が悪くても、しばらく頑張って続けてみよう。
そのうち、断わった役目が、本当にやりたい人のところへ廻って行ったり、もっと能率のいい方法が編み出されるチャンスになったり、思いがけない「成果」が見えてくる。
なんて思えてきたら、こっちのもの。
人に本心を伝えるということは、自分に正直に生きるということ。
無理や我慢、しすぎてるかなあと思う人は、勇気を出して、No! と言ってみて。小さなことに、ちょっとずつでも。
しない、しない、しない
No, NO, NOOOOOOO!!!!!!
ちょっと楽になってきたかな?