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「現在地のまなざし」(東京都写真美術館)①

 東京都写真美術館が2002年より継続している、新進作家の発掘を目的とした展覧会。

 今回はかんのさゆりさんの写真に惹かれました。彼女は宮城県生まれで、今回のシリーズ〈New Standard Landscape〉は2016年から現在にわたり、東日本大震災の被災地であった宮城県・福島県の様子を撮影し続けております。一見それは、なんでもない新興住宅地の風景にも見えますが(実際そうですが)、一度更地にして建て直されたと思われるその風景には、一つの外形的な歴史が失われた生々しさが露見します。
 なまじ歴史・過去を知ってしまっていると、複雑な思いも正直拭いきれないこの景色。しかしかんのさんはそんな景色に対し、以下のメッセージを送ります。

変わらない風景
変わりゆく風景
それが良いとか悪いとか
はかることはできるだろうか

風景は私たち自身を映す鏡のようだ
今はまだ見慣れないよそよそしい風景も
遠くない未来には誰かの故郷になるだろう
あたらしい風景はもうはじまっている
(作品リストより抜粋)

 こういう言葉を聞くと、私自身がこの件に関する当事者ではないことを改めて痛感します。かんのさんは、それが仮設的なものであっても復興がひとまず完成した事実を受け入れ、その上でこれから訪れる未来を見ているようにも感じました。

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