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メモとしての写真撮影 - 美術館でのメモの取り方【最新版】

 前々回、美術館におけるメモの方法について書いていて、もう一つ書き忘れていたことがありました。
 それはカメラをメモ代わりに使うという方法です。写真は自分で見たり友人家族、SNSにシェアするのが一般的かと思いますが、必ずしもシェアが目的ではない、メモとして使うこともできます。

 やり方は特別変わったものではなく、

藝大卒展(2025)より

 もちろん作品全体を撮影したりもしますし、

李晶玉展(2023)より

 気になった箇所をこうしてアップするのも一つの方法。

中平卓馬展(2024)より

 感想文に反映させるため、こういったキャプションを撮影することもあります。

 必ずしも文字を書くわけではないのですが、要するに思い出すきっかけになればいいわけで、写真さえあればそこから芋づる式に思い出すことも可能です。作品点数が多かったりしてメモを取る余裕はないが写真撮影はできる、みたいな環境で(それこそ卒展とか)、そういう場ではむしろ紙と鉛筆は無用の長物、スマートフォンやカメラを持参したほうが良い、ということになります。

 特別コツらしいコツもないのですが、「なんでもかんでも撮影しない」ということがポイントになるでしょうか。10〜15点程度しか展示されないコマーシャルギャラリーならまだしも、50、100と点数のある展覧会で、いくら撮影可能だからといってその全てを撮影するのは疑問です。
 以前、ある浮世絵資料館の展覧会で、学生さんがデジタルカメラを手に、展示された作品を片っ端から全部撮影されていたことがありました。夏休みのレポートに使うのかなんなのか、動機は不明ですが、それだと全ての情報がフラットになってしまい、あとで振り返るときに「なんで撮ったんだっけ…?」ということにもなりかねません。

 今回目的とするメモに限らず、「自分が気に入った作品だけを撮影する」というのは一つ大切な態度だと思っています。一つに絞れとまでは言わずとも、選択するということは「違いを見つける」ということでもあるので、その過程を通じて自分自身の審美眼が磨かれている部分もあるかと思います。
 ただ「ゲージュツサクヒン」にしか見えなかったのが、選ぶ意識を持つことで、だんだんと作家の違いが分かってきたり、自分自身がどういう作家、どういう作品が好きなのか、おぼろげに見えてくるのではないでしょうか。

 ただ、写真撮影NGの展覧会、美術館ではもちろんこの方法は使えませんし、OKだとしても騒音にも配慮・注意すべきところ。
 「私一人ぐらい…」ではない話です。とある展覧会で写真撮影を解禁したところあまりに展示室が騒々しくなってしまい、苦情も上がったことからそれ以降、展示室内の写真撮影を原則NGにしている…なんていうケースも残念ながら存在します。東京ステーションギャラリーです。

 ちなみに私の場合、現在はシャッター音を消せるスマートフォンを使用していますが、以前はスピーカー部分にティッシュを巻いて消音していたこともありました。涙ぐましいですネ。


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