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読書記録2024.8-9 欲望と漫画の因果関係

 8月の中盤〜終わりにかけて再び入院。
 2週間ほどで退院した…んですが、退院したその日に別の病気(退院後、再び外来で今後の治療方針を決めようと思っていたもの)の発作が出てしまい、色々あって都合もう1週間入院することに。今は落ち着いておりますし、こういうこともある(そんなにはない)と、とっくに割り切っております。

 入院中は結構「なにもしない」という時間もあり、特に今はなんてったってアイドル絶食中ということもあり、食べ物に関する本、特に漫画を読む時間が激増。というわけで、今回は食べ物漫画ばかりです。土山しげる多め。

今朝、ふと描きたくなったハムカツ。絶食中の今の心境を端的に反映していると言えなくもない。

塚原洋一『野原ひろし 昼メシの流儀』アクションコミックス

 漫画「クレヨンしんちゃん」でおなじみの野原ひろしの昼食遍歴を追った言わば飯テロもの。ほぼクレしんを観ていない私としては完全なオリジナル作品を読む感覚でもあります。
 この著者は20年ぐらい前、週刊漫画ゴラクで『男の流儀』という漫画を連載されてて、個人的にはそれを彷彿とさせる内容でしたあの頃は真夏の温かけそばに七味を一瓶こぼし、それでも完食して満員電車で大汗かくとか、だいぶパワフルでしたが、今は今で程よい「平和さ」があると思いました。

土山しげる『喧嘩ラーメン』日本文芸社

 ラーメン屋の息子で、北関東の暴走族総長でもある主人公・源田義経が「自分の味」を求めて九州へ。今でこそ豚骨はラーメンのいちジャンルとして当たり前に定着していますが、当時は必ずしもそうでなかったんだなと思わせる内容です。
 後に多数のグルメ漫画を描く土山しげるにとって“最初”の漫画という意味でも記念碑的な作品。「食と旅」をテーマにした『喧嘩ラーメン』『食キング』『喰いしん坊!!』と続く三部作の最初の作品でもあります。あくまでも物語の本線を走り、横道にそれる展開が少ないのもこの方の特徴ですが、そういうスタイルをこの漫画の中で見つけていった印象があります。

土山しげる『食キング』日本文芸社

 連載当時(1999年スタート)テレビ放送され、人気番組だった『愛の貧乏脱出大作戦』(1998-2002、テレ東系)に映画『ベスト・キッド』の要素もミックス。荒唐無稽な「特訓」を、時には食対決などを通じて、一流洋食店の元総料理長である主人公が潰れかけの料理店をたちどころに再建していくストーリー。特にこの頃の物語テンポの良さは目を見張るものがあります。
 料理を落としたり食材をガンガン捨てたり、そういう演出ありきの傾向は今では気になってしまう描写ですが、こういう読み手側のの「意識」の変化も時代かなと(リアルタイムで読んでいた高校時代は全くそんなこと思わなかったので)。

土山しげる『喰いしん坊!』日本文芸社

 グルメ好きサラリーマンだった大原満太郎がプロフードファイターであるハンター錠二との出会いを通じ、大食いに開眼。物語は「邪道食い」(水をかける、食材を粉砕するなどして強引に詰め込む食べ方)を得意とする団体との抗争へと発展していきます。
 これが連載されていた当時は確か「大食い」ごっこの死亡事故がまだ新鮮だった頃で、大食いとて「美味しく食べる、きれいに食べる」というマナー重視のコンセプトを打ち出したのは今考えると大きなことなのかなと。口で言うだけで終わらず、それを物語という形で呈示したというのは素晴らしいことだったんじゃないかと思います。
 あと、この漫画で言われている大食いの方法は「大食い」以外の、普通の食事でも通用する部分があるのかなと。水の飲み過ぎを避ける、食事の前後で乳飲料、食物繊維入りドリンクの摂取などはその一例でしょうか。

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