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ストレスを射抜け、真夜中の戦い【ダーツバー】

はるか昔、私がまだイケイケの営業だった頃。

終電まで働いた後は、そのまま同僚達と街で飲み明かす。タクシーで帰って玄関で気絶、仮眠からの出社という、無茶苦茶な生活の中で、ダーツブームが訪れた時期があった。

私は仲の良い同僚と以前からダーツを嗜むことがあった。嗜むというか、かなり真剣にハマっていた。

隣の部署のあの人が上手いと聞けば、勝負を申し込みに行くような勢いだった。

とにかく、元気が有り余っていたのだ。1日を仕事だけで終わらせるなんてもったいない!思い切り働き、思い切り遊ぶ!そんな気迫があった。

もちろんマイダーツ、ダーツライブカード(自身のダーツ記録を残せるメンバーカードのようなもの)は常に持ち歩いていた。

「お前ら、ダーツやるらしいな、いくぞ!」ある日、別部署の営業マネージャーが声をかけてきた。山のような巨漢、日焼けサロンで仕上げられた黒い肌、ギラギラとした瞳。只者ではない空気。しかし実際は、お客様と後輩想いの、誰からも慕われる先輩だった。

先輩に連れていかれたのは、会社近く、廃墟のようなビルの、ボロボロの一室だった。

おいおい大丈夫か、、看板もないし、、恐る恐る中に入ると、店内は紫のブラックライト、狭い店内にはカウンター席5席程度と、、ダーツだ!

この店は、先輩の行きつけのダーツバーだった。

カウンターから陽気な女性の声がする。このお店のマスターだった。既にお酒で出来あがってそうなハイテンションだが、シラフらしい。

そこはいかがわしい店ではなく、普通に仕事帰りのサラリーマンが訪れるダーツバーだった。

先輩の行きつけらしく、本人もダーツにハマり、私たちの噂を聞きつけて誘ってきたのだった。

以来、その店は私たちのたまり場と化した。立地や店構えからか、普段から他のお客様はまばらだったこともあり、貸し切りのように過ごすことも多く居心地がよかった。

真夜中の薄暗い店行われるダーツは、なかなかに趣深いものだった。身体はヘトヘトだが、頭と心は日中のストレスから解放してくれているようだった。ダーツの集中は脳に良い、根拠はないが、そう思った。(酒の力だったかもしれないが)

この日々は、ある日突然に終わった。マスターが店をたたんで、地元に帰るという。確かに、私たちしかいない日も一杯あったもん。儲かってる訳ない。名残惜しかったが、東京じゃよくある話だ。

あれからダーツはもちろん、先輩にも同僚にも、随分と会っていない。みんな職場も変わり、住む場所も変わり、色んな変化があるようだ。私ももちろん、生活が変わった。

もうあんな無茶苦茶な生活はできないが、私の体力や仕事観、根性、休み方など、多くの要素が、今の私を形成してくれているのだと思う。


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