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“FF14”のデザインをボードゲームに持ち込む、という試み

『VTuberになって協力する、育成型ダイスゲーム』

私がボードゲーム『くあっどらいぶ!』制作のため、「VTuber監修」のお仕事を頂いたのは、フォロワー1万人の現役VTuberとして、なおかつVTuber企業を経営している……という経緯を評価してもらったからだった。

サークルの仲間と話し合ってすぐにわかったことは、文化・キャラクター性を監修していくうちに、「VTuberらしさ」という砂上の楼閣のような概念をゲームシステムにも落とし込む必要があるということ。
とっくのとうに2万人以上が活動している業界で、「らしさ」を定義するのは難しい。

しかし、これだけは間違いないこととして。
どれだけ可愛くて魅力的なVTuberキャラを作り上げたり、実在の人気VTuberとコラボしたとしても、「今、自分はVTuberのゲームで遊んでるんだ!」という感覚を持ってもらえないようでは全てがハリボテになってしまうという懸念を正直に伝えた。

その日から、ゲームデザイナーのあひるさんと『くあっどらいぶ!』とのゲーム開発に関するやりとりが始まった。
(この日までにできていたプロトタイプが3個ほどあったのだが、申し訳ないのだが合意の上全部捨ててもらった)

最初に方針として決めたのは、

①表現するVTuberの個性がどれだけ尖っていても、笑えることはあってもバカにはしない
②プレイヤー同士が蹴落とし合うようなデザインにはしない
(本物のVTuberは基本的に個人事業主同士のドライなビジネス志向なので、しょーーーーもないファンの取り合いとかで足の引っ張り合いなんてしない)

①の意図は説明不要かと思うが(炎上ネタや不憫ネタなどを短絡的にキャラの短所として取り扱うことは、何より一回しか面白くない)問題は②だ。

②を愚直に実行すると、市場にそこまでの前例がない「協力型ゲーム」となる。制作コストを払っているサークル側に新規性というリスクを取ってもらう提案をすることに、悩みはあった。

しかし、ボードゲームはそもそもコミュニケーションツールなのだという前提に立ち返ってみる。

例えば、既存の対戦型の拡大再生産ゲーム(それこそカタンとか)では、初心者と上級者が卓を囲むと効率がぐんぐんと引き離されていき、結果的に同卓をしても誰にとっても面白くない結果を産んでしまう。

ならば、同じ拡大再生産でもついた効率の差を「誰かを助ける」ことに使えるゲームができないだろうか。

「コラボ」「事務所」など、一緒に仲間と活動するインセンティブが強いVTuberという題材でこのブルーオーシャンにチャレンジするのは、まさにふさわしいことだと思った。

さて、ここでようやくタイトルの本題が登場する。
どちらかといえば電子ゲームで育ってきた私には、ここで目指すべき、かつ多くの人に受け入れられた実績があるのはオンラインRPGの戦闘システムであるように思えたのだ。

私もやりこんだ、世界で一番流行ったオンラインRPG、FF14のボス戦のシステムを簡単にまとめると以下の通りだ。

①それぞれ役割やスキルが違う8人で協力し、一体の強力な敵を10分ぐらいかけて倒す
②最初から最後まで、敵キャラの妨害行動に最適な対処を行なって、全員で効率よく攻撃し続けるのがカギ。
③制限時間内に倒しきれない(=チーム全体で効率よく攻撃ができていない)と失敗

これを提案したところ、ボードゲーム的には下記のように落とし込んでもらうことができた。

■時間内に相手の体力を削り切るという部分
→すごろくのシステム

■協力して効率を上げながら共通の目標に立ち向かうという部分
→リソースを一部譲渡したり分け合うことができる拡大再生産
 (そういう意味で、参考にしたのは赤魔道士登場後のFF14と言ったほうが近いかもしれない)

■キャラクターごとに別々のスキル・役割がある
→毎回ゲーム開始時に行うキャラメイクシステム

こうして、現行のくあっどらいぶが作られた。
これらの要素はさらにVTuber要素と結びつき、ブラッシュアップされて……こうなった。

結果として、「キャラクターメイキング×育成×ダイス×協力ゲーム」というまだ見ぬゲームが作られた。

また、出発点が「VTuberらしさとは?」という問いからの連想だったため、完成したゲームシステムとストーリーやコンポーネントとの相性も最高でリッチなものにできた。

「個性豊かなVTuber一座として、配信して!案件でお金を稼いで!自己投資して!みんなでチャンネル登録者を増やしていこう!」
という、現実のVTuber活動にも沿ったわかりやすいシナリオをゲームで表現することができたのだ。

本作に関わる中、「VTuberの監修」の仕事を飛び越えてしまうことにはなったが、1人のアナログゲーマーとして、これ以上ないほど野心的で素晴らしいプロジェクトに関われたことに感謝している。

これから、本作で製作したオリジナルVTuberたちのIP化なども企画として立ち上がっている。
ボードゲーム制作の流れとしても、キャラクターをイラストではなくVRChatのアバターとして既存のBoothにて販売されているアバターパーツから制作して撮影するなど、新規性のある制作手法を取り入れた。

ボードゲームのプレイヤーでありつつ、ボードゲーム業界で育ってこなかった。
そんな異業種の3人のメンバーによるサークル「ケルベロス」は、ボードゲーム業界がやってなさそうなことにこそ首を突っ込んでいく団体になっていく。

ただし全員本業がある分、今回レベルでの品質の継続的なフルコミットは難しい。

なので、今回の記事で少しでも先進的だと感じて頂いたり、期待して頂けるようであれば。ぜひ購入して応援していただきたい。1箱2000円(税込)です。ゲームマーケット当日(両日参加・H-19です!)以外にも、通販もあります。

外注を増やしたり、別展開を考えたり。
売れさえすればできることはいくらでもある。

社長業を並行している私にとって最初で最後のゲームになるかもしれないのだけど、だからこそ手に取ってほしい。

よろしくお願い致します。

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バーチャルAV女優・Karin
バーチャルAV女優のKarinです。 「性別に囚われず好きな仕事のできる世界」を目指して、男性向けセックスワークをやっています。