小渕花梨

生きることに切実な人の遺書

小渕花梨

生きることに切実な人の遺書

最近の記事

自分を愛しすぎている

自分の人生が今よりよくなることはないだろう、と思いながら生きてきた そう思い続けられるくらいにはいいことばかりだった それでも生まれてきてよかったとは思えないから、きっと人生そのものに向いていないのだろう 幸せは大きすぎて抱えきれなくて、叶ったことは何ひとつ自分の力ではなくて、再現性がなくて、いつか失うときを待つより今全てこの手で終わらせたい 家に一人でいて何もすることがないと悪いことばかり考えてしまうから、勉強に時間を割くことが増えた きっと何事にも言えることだが

    • 実家の猫の話

      友達と可愛いものの話をしているときに私の表情を見て「泣くのかと思った」と言われて、そういえば可愛いと悲しいは似ていると思った。 実家には保護団体から引き取った白猫がいる。まだ子猫の時に家に来た。療養中だった私は一日中同じ家で猫と過ごすことになって、自分とは別の生命が同じ空間にいることに居心地の悪さを感じていた。 幼い頃から知的好奇心は旺盛だったため昆虫は身近に観察できる生き物として好きだったが、小動物を可愛いと思う気持ちはあまり強くなかった。それどころか、ふわふわの小動物

      • 「アフリカの」を読んでくれた人へ

        いっそのこと「アフリカの恵まれない子供たち」ならよかったを書いてからずいぶん経つ。 あの頃諦めきれなくて苦しんでいた全てを投げ出すことで楽になれた。大学は中退して、まともな職歴がひとつもなく、資格も何ももっていない。思い描いていたまともな大人にはなれなかったけど、少なくとも幸せだといえる。精神の薬はもう2種類しか飲んでいない。 当時は相当叩かれたが、同窓会に顔を出せるような立場の人に何か言われるのは今でも違和感がある。今の幸せな私なら日本に生まれて、戦争や災害に巻き込まれて

        • 親知らずを抜いた

          親知らずを抜いた。 私の親知らずは歯茎に埋まって斜めに伸びて、歯列を乱していた。そういえば25歳ごろから口元が前に出てきていないかと指摘されるようになった。今思うとすごい観察力、ご明察である。 歯列矯正をしている病院から親知らずを抜歯できる病院へ紹介状を書いてもらって半年以上が過ぎてしまった。忙しかったわけではなく、ビビりすぎていたのだ。顔面が内出血したとか首がもげるほど引っ張られて痛かったとか怖い体験談も見た。そのうえ私の親知らずを抜くには、歯茎を切り開いて歯を砕かなく

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          夏が終わったことについて

          夏が終わったことについて

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          Re:この世界全て

          飲み物をちょっとこぼしたときに今着ているエアリズムの下着で拭いて、速乾性だから大丈夫!とドヤ顔をしている。こういうところが好きなんだよなとしみじみ思う。シャワーを浴びて濡れたまま抱きついたってあなたは気にしない。 転勤が決まったとき、気弱なあなたは私に「ついてきてほしい」とも「結婚してほしい」とも言えなかった。 私は察してあげないし、あなたの思い通りにはならない。少しだって譲歩するのが癪だからだ。でももっと話し合いが必要だったとは思う。言葉足らずでごめんと謝ってくれたけど、

          Re:この世界全て

          私の友達の話

          マグカップを見かけると深い紺色のものに目が行く。でも、あのマグカップはもっと大きかったとか、釉薬のムラがなかったとかケチをつけてしまって、結局ずっと買えずにいる。 あの子と友達になってもう7年以上経つ。茶色い髪もカールしたまつげもふわふわしていて天使みたいなのに、孤立するでもなく周りに馴染もうと媚びるでもなく飄々としたところが素敵な人だ。 どんな流れだったかも忘れてしまったけれど、その子の家でコーヒーを飲みながらお喋りして夕方に解散するみたいな関係が、特に用もないのに続い

          私の友達の話

          優しくなるための余白

          幼い頃に何度か、外に出て働いている人が一番えらいと聞かされた覚えがある。それは当時ほぼワンオペ主婦だった母親が自分を納得させるために繰り返していた面もあるとは思うが、紛れもなく社会からの要請だ。 他人に迷惑をかけず自立して生活しろ、稼げる人になって納税するべきだ、役に立つ人になるべきだ。そういう要請をずっと受けてきたし、そういうものだという刷り込みに基づいて私たちは社会を営んでいて、だから社会は「普通」から転がり落ちなかった人向けの構造になっていて、余白が少ない。 みんな

          優しくなるための余白

          桃を買った

          自分を可愛がるためにお金を使うのは難しい。自傷のためのパブロン1400円とかレスタミン600円は買えちゃうのに、美味しい果物380円にはなかなか手が出なかったりする。セルフネグレクトをやめること、幸せになる努力をすることは、意識しようとしても簡単には身につかないものだ。 今年はパイナップルを飽きるまで食べたし、最近はゴールドキウイがお買い得で、桃も出回り始めた。今死なないための気付け薬も私にとっては必要なものだけれど、心を癒すためにお金を使うことで、私は自分を大切にしてもい

          桃を買った

          節約して浮いたお金で、今死なないためにじわじわODするよりも、同じ1000円なら普段買えない桃とか買ってサクッと死んじゃった方が幸せなんじゃないの

          節約して浮いたお金で、今死なないためにじわじわODするよりも、同じ1000円なら普段買えない桃とか買ってサクッと死んじゃった方が幸せなんじゃないの

          自分が自閉症であると自覚すると同時に、それでもやはり私が正しくて、異常なのは周りの定型発達者だと感じてしまう。

          自分が自閉症であると自覚すると同時に、それでもやはり私が正しくて、異常なのは周りの定型発達者だと感じてしまう。

          権利と義務について

          私たちが持つ人権は、何かの義務を果たした代わりに与えられるものではない。納税していなくても働けなくても生きていく権利があるし、障害があるなら暮らしやすいよう配慮される権利があるし、成果が出ない日でも出勤したならば労働の対価を受け取る権利がある。ちょっと考えてみればわかることなのだが、病気になった人が公費をかけても生活の保障をされて適切な治療を受けて生き延びる権利を持つのはその人が健康な間に納税してきたからなのか?難民が保護されるべきなのは受入国にとって安価な労働者としての価値

          権利と義務について

          もう少し髪を伸ばす

          髪が胸あたりまで伸びた。半年で10cm以上伸びていると思う、なかなかのペースだ。ヘアドネーションをやっているので、ショートヘアの時と髪が腰まである時がある。次で3度目になる。 7年前、もうそんなに前になるのか、その時付き合っていた人の妹が小児がんだった。私と彼が出会った頃にはもう完治していて元気に学校へ通っていたけれど、闘病中は抗がん剤で髪が抜けてしまったという。 柔らかくツヤのある綺麗な髪であることが、特に自慢できるようなことのない私の唯一の取り柄ともいえる。少し栗色が

          もう少し髪を伸ばす

          このまちのこと

          今住んでいるボロアパートのすぐ横に大きな川がある。ハザードマップが真っ赤だ。海もいいけど川もいい。動くでかい水というのはとにかくいいものだ。 鯉は一年中見かけるが、寒い時期は鴨やユリカモメ、最近は暖かいのでカメを見かける。 花や実をつけて季節を知らせる木々が並ぶ川沿いを歩くとお気に入りの八百屋があって、多種多様な商品の価格を全て記憶したレジの人が一瞬で暗算会計するのが好きで通っている。私は心の中で彼女を爆速計算おばちゃんと呼び尊敬している。まだ食べたことのない野菜や果物がた

          このまちのこと

          インチュニブを飲むのをやめたら、また以前みたいに敏感になって苦しくなって、言葉がまとまりをもって湧き出てくるようになるのかな

          インチュニブを飲むのをやめたら、また以前みたいに敏感になって苦しくなって、言葉がまとまりをもって湧き出てくるようになるのかな

          日記

          朝起きたら、大事にしていたサボテンが2つ引き抜かれていて、代わりに鳥の羽が落ちていました。 鳥のいたずらなら近くのアスファルトに転がってはいないかと思って探したけれどだめでした。 ホームセンターで100円ほどで連れてきた子たちです。新しいのを買えばいいじゃないと思える日が来るのかもしれませんが、5月から一緒に過ごしたあの子たちの代わりはいません。 母に話したら、鳥も一生懸命食べ物を探したのだろうと。大泣きしました。お金を出して買ったのだから自分のものだと思い込んでいました